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■ 中毒性日記 2008
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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気温が高く、夜半は強い雨の降る金曜日。店の中にいてもその滴がアスファルトに跳ね上がる音が分かる。店はやはり静かだ。そんな時に話し相手がいて良かった。

いつもビールしか飲まない三木くんだが、あまりに静かな店に気を遣ってくれたのか、珍しくウイスキーを飲むと言う。「志賀さんは、どんな酒が好きなんですか?」と聞かれて、そりゃカクテルで有名な店ならジンリッキーなんて飲んでみたいし、自分のつくるモノとの違いを感じてみたいけど、基本的にはウイスキー好きだなと答えたからだろう。「水割りも、ウイスキー&ウォーターという立派なカクテルだしね」と、そのシンプルゆえに難しい水割りの話をしたからかも知れない。

店によって違うが、氷は一貫目を氷屋にもって来てもらう。言えば小さくカットしてくれるが、こればかりは人に任せられない。見えない傷も付く。まず一貫目をアイスピックで、直線のカットラインを付けながら半分に割る。その立方体を更に同様に半分にする。それを4等分すればオンザロックの氷となり、9等分すれば10オンスグラスに2個びっしりと入る水割りやロングカクテルに使う氷ができる。

一昼夜掛けてつくられた氷屋のモノは、「ス」が入っていなくて溶け難い。CMのような締め過ぎてパチパチ音のするような氷では、その隙間に液体が入り実は溶けやすいので、オンザロックの氷はつくり置きをしない。表現としてはオカシイがその方が柔らかく、液体をまろやかにする氷ができる。それは1貫目の36分の1である水割りの氷も同じで、たった2個の氷でも溶け難く旨味がある。

「カランッと音がすれば、お代わりを聞きに行け」とは、ホテル時代に先輩に言われたものだが、これが製氷機のものだったり、溶けやすい氷ともなるとその音が聞こえ難い。何十分も掛かった水割りなら仕方がないが、ちゃんとつくった氷ならある程度大きく残り、液体を飲み干した時にグラスを置けば、必ず音がする。

そういった氷は、オンザロックになるとまた違った表情を見せる。その人の飲むペースで、丸い氷に年輪のような轍(わだち)ができるのだ。それが何口で飲まれたものなのか、その人のいつもと違うペースまで判る。そしてもう一杯、その溶け難くアナタ独特の表情がある氷でいかがですかと勧める事もできる。

そんなこだわりなんて、アルコールが入っていたら何でもいいという人にとってはどうでもいい事なんだけど、たかが氷をそうやって見てくれる人が、極稀に(それが100人に一人だとしても)いたりすると嬉しかったりもする。

そこに、まぁいいかと手を抜けないところが僕の良さでもあり弱点でもあるが、そういった部分をたまには感じて欲しいとは思っている。

氷のくせに、意外に温かい世界なのである。


※今日のヒトコト
チョコはなくてもいいが、静かすぎるのは寂しい

※志賀氏的伝言板
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