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月曜日は終日の雨。これはラグビーや事故の後遺症のある僕には、格好の餌食である。首や背中、腰のダルさを癒そうと、iTunesでダウンロードしたJAY'EDの「最後の優しさ」にハマる。少なくとも僕にとってはジェロよりいい。いつか三宮大学カラオケで披露したいものである。しかし頸椎の辛さは続いた。ふぅっ。
さて週明けの店。過日に婚礼に出席したその場所のGMやスタッフから、「あの日はいかがでしたか？」と聞かれたので忌憚なく毒を吐いた。かと言って、所謂クレーマー（ダスティン・ホフマンでなく）でもないから、あら探しをするつもりもない。そこで、遠慮なく感じた2点を話した。1点は、待ち合いの部屋で、式が遅れた理由を担当が皆に伝えなかった事。そしてもう一点は、食事のサービスについてだった。それらはすぐに改善されるだろうし、担当者レベルの自覚に任せる話しだとして、「サービス」についてふと自分も考えてみた。
近頃はカフェにしてもレストランにしても、スタイリッシュな店が多い。ポーションを小さくして美しく見せる。そのために大きな皿を使うのも、デザインの流れに近い。デザインされているのと同様に、デザインされていないところ（料理で言う、盛りつけがされていないところ）にも意味があるという考え方だ。そういった手合いの店は、見せ方には長けている。器と同様、内装やインテリア、制服や販促物までにもこだわりを持つ。最先端の料理や酒を追求し、格付け誌に掲載されるが如く、外観の独自性を追求する。それは悪い事でもない。しかし当たり前の「スタンダードな部分」にお客様が違和感を持てば、それもアンバランスな店となる。
デザインに関わる立場でもある僕だが、サービス畑の経験ある人間だけに（今の店「志賀」はサービスというより家に招き入れた感覚で少し違う）、サービスしやすいテーブルのレイアウト、器、グラスなどには限界があると思っている。欧米に比べ、シェフ料理人主導の傾向がある日本の中で、ギャルソンがただの給仕係として軽んじられているところにまず問題がある。いい店は、ホールサービス担当と料理人がよく話をする。時に、喧嘩するくらいに意見をぶつけ合う。その中で、お客様が望んでいる事を掘り下げ、そして気付く。重た過ぎる器やカトラリーは必要か、綺麗に見せるがあまりに美しいサービスをし難いカタチをした器やグラスを選んでいないか、マニュアルにないイレギュラーに出くわした時の対応力はあるか。
見せ方を重んじるがあまりに、当たり前のサービスを提供できていない例は、他の業態にもある。例えば「イベント」と言われるものに多い。ある牧場では150頭もの羊がいて、それらの一斉毛刈りの日があり、それは壮観なものである。しかし観に行った時に、上手くスピーディに「イベント」として見せられる熟練者は一人で、その職人以外は気の毒なほど羊は暴れるし、バリカンの手さばきもぎこちない。ゆえに羊は傷付くし、予めそれを見越してヨードチンキをスプレーする人員もいた。小さな子供を持つ親は残酷に見えるソレを見せないようにしていた。イベントと謳う前にやる事がある。精度の高い見せ方を、もっと練習するべきだ。
いいサービスは、それを持ち帰るお客様が伝えてくれる。しかしその逆もまた恐ろしいほどに広がってゆく。式、披露宴に参列した場所でサービスを提供する人々、そしてそれらの人を管理する立場の人間が他の意見をそうやって乞うだけ、救いがある。ただ意見箱のようにマチの人々に書かせて、現場レベルの窓口で消化し反映しないのはもったいない。所謂「上」の立場が聞く耳を持ち、改善点を下に落とし込む。そんな柔軟性があるあの場所には、素敵な未来がありそうだ。
※今日のヒトコト
【流行る店やいいサービスの店は分かりやすい 「志賀」の反対をやればいい 】
※志賀氏的伝言板
【 「神戸加納町 志賀」その成り立ちと想いやデザインを掲載中 1月24日発売 >>>『Invitation3月号』〜世界に誇る ニッポンのバー〜】
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