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唐突だが、つくづく危険なほどに正義感だけはある。通りで自転車を投げていた酔っぱらいのチンピラを捕まえて警察を待っていると、数発殴られて投げ飛ばしたらアスファルトに顔から落っこちて血だらけになったその男に「この人にやられました！」と来た警察に言われたり、店の前で爆竹を鳴らして逃げたインド人の子供達5人を大声出して追いかけてたら、周りの大人から変な目で見られたり、店の扉がドンッドンッと音がして外に出ると、元彼女を追いかけて来た男に「○○はおるやろ！出せ！！」と言われたので「その扉の叩き方が気に食わん」と僕が言うといきなりキックを浴びせられたので、左手で首を絞めながら「そこにタクシーがおるから乗れ」と押し込んだり……とにかくスレスレの正義感が時に顔を出す。
金曜深夜3時半頃、北向きに信号待ちをしていて青に変わったなと発進しようとすると、無灯火中型バイクが東から西にほとんど信号無視気味に横切った。同じ頃、フラフラとおじさんが北から南に向かう横断歩道をこれも途中までは赤信号でやってきてたのが見えた。真っ暗な深夜。バイクはライトが付いていない。オヤジは酔ってるのか惰性で歩く。案の定、バイクは接触し、おじさんは倒れた！
過日の事故で、僕は目撃証言者が数人いてくれたことで難を逃れた。そのままただの単独事故で処理されなくて済んだ。人は優しいと書いたのはそういうことなのだが、僕もそれを見過ごすわけにはいかない。すぐ近くに須磨警察がある。僕は見た模様を伝えるために署に飛び込んだ。
「すぐそこの交差点でバイクと歩行者の接触事故の通報はありましたか？ ん？ないんですか トラックも多いこの時間に交通整理もしないと大変ですわ 歩行者も倒れてたし、すぐに行ってあげてくださいよ」
おたくの名前は？連絡先は？とお決まりの事務手続きをする警察官。取り返しの付かないかも知れぬ事の重大さを、「急行します！！」と誰かが出て行くかと思えば、悠長なことを宣う。国家権力とは、マチに安心を、人に安らぎを与えるものではないのか。こんな夜中に面倒な事件に巻き込まれている、そんな風に対応されて、国家とは権力とは、本分とはと少々憤りを感じながら表に出た。
エンジンを掛け、すぐの交差点で信号待ちをする。左隣に、一台のバイクがドドドッと停まった。服装、ヘルメット、アメリカンタイプのフォルム、そして何よりも右の折れたミラーを気にするその男。
「あっ！あの男や！！」
信号が変わるとソイツは左折して消えた。僕はナンバーを読み取った。
Uターンをして、事故の交差点まで戻る。倒れてたオヤジは、まだフラフラと歩道にいた。そこは胸を撫で下ろし、その状況を説明しようと再び須磨警察へ。
入ってきた僕を見て、同じ警官が「あっ、僕が行くんじゃなくて、他の警邏の者が行ってますから」と、僕がお前らいつまでそこにおんねん！早よ行かな、バイク逃げよんで！！と入って来たと思ったのか焦ってた。むかついたのは、僕が入る直前、ガラス越しに見た彼らは笑ってた。今、まさにそこで事故が起きているのに。
ナンバーとバイクの特徴を伝え、被害者はとりあえずは立っていたことを告げると、「あぁ、双方示談で済んだんですねぇ」と警官は言った。示談で済んだのか、一方的にバイクが被害者を放って逃げたのか判らないのに、警官はそう言いのけた。「そんなこと判らんから、こうして何度も来てるんですよ よろしく頼みますね！」と僕は言い残し、帰路に就いた。
さっきとは違う声の警官から、その1時間後の朝方携帯に電話があった。「え？バイクは原付じゃないんですかぁ？」何も伝わっていないソイツの話し方に呆れたが、被害者の服が破けていたこと、多分それが右のミラーで引っ掛けたことなどを聞いて、大事には至らなかったことは良かったと、電話を切った。
警察が当人同士の示談や、民事に介入しないことは解る。しかしそこに感情や、使命のようなものが生まれた時、アンタらはそんな事務処理を繰り返してはいけないよ、何のためにその職務に就いたのかを思い出してくれよ、と切に思った。憤りを通り越す怒りが、沸々と生まれていた。
まさにこの日、愛知で立て籠っていた犯人に撃たれ殉職した、機動隊特殊急襲部隊の男性と重ね合わせてみれば、警察組織というものは一つのチーム、同志という考え方をしないのかと、虚しくなる朝だった。
※今日のヒトコト
【特殊急襲部隊・SATには大学の同級がトップにいる 最前線の現役だ 】
※志賀氏的伝言板
【 ふぅっ、長かった 】
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