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快晴、夜は底冷えが戻る水曜日。朝方眠りに就いた。数時間して、あと20分で出なければいけない午前に起きた。塩屋の家を慌てて出た。男でよかったと思う。
阪神電車を、元町駅から初めて乗った。その駅が地下だと言う事実に驚いた。地上で探した僕を笑え。そこから御影まで特急を乗れば数分で付き、普通に乗り換え香櫨園まで。と思ってたら、先方の社長からメールが来て、最寄り駅は西宮だと分かる。じゃあさっきの特急をそのまま乗ってればよかったがな、と後悔したが、阪神電車ってのは次の駅のホームが見えてるくらい近い間隔で、程なく西宮に着いた。
そこから徒歩10分ほどで、辰馬本家酒造がある。1年前に就任した社長は35歳で、たまたま知り合いの知り合い（店のお客様の繋がり 聞けばラビットやブングー、ポートピア各氏とも面識あり）から知り合いになったというややこしいような偶然のような、それでいて必然的な関係だと思っている。
大正時代の建築だから90年余になる本社屋が、あの震災にも耐えて残っていた。それが1月に今の工場の敷地に移築され、これからは工場見学の新しいルートとして生まれ変わる。外部（関連会社ではなく）では初めて、光栄にも僕がそこにご招待を受けた。一般に開放される前にぜひ見ておきたいと、勇んで行った。
酒蔵を利用したレストランで、酒粕とデミグラスの煮込みハンバーグをご馳走になり、社長のオーダーを間違い余分に来たパスタを小学生のようにガッつき、その大正建築に想いを馳せる。震災に倒壊した近代建築の中で、それが方角か構造か、ガラスの歪みによる気泡はあるにせよ残っている。ナンだかワクワクしていた。
庭があり、旧本社屋にあった灯籠や石が庭園に。まさに、田舎の小学校で見たことのある木造建築はそこに佇んでいた。中に入ると、イメージは昔の講堂や新聞社、役所のよう。天井は高く、梁というモノが見当たらない。構造柱も見えない。話によれば、その四隅にあるそれぞれの部屋が「支え」になったのではないかとのこと。湾曲した木部、それぞれ違う木のフシが模様になっている板。新鮮だった。
復元に関わった職人達、そのこだわり話を聞き、そこで1950年代から現在までのCMを見て、日本酒のできるまでの映像も見せてもらう。時代は回帰する。昔のCMほどに新鮮に映り、昔ほどにチャレンジ（日本酒の飲み方の新しい提案）が窺われる。プロモーションのヒントはソコにありそうだ。とても面白かった。
目がウルウルきて、鼻水が出た。
実際、感動はしてたんだけど、
実は花粉症だった。社長、泣いてると思ったかも。
そう言えばブースカさんが、レントゲン写真を患者さんに見せながら説明治療中に、花粉症が出て涙が溢れてきたそうだ。患者さんは「わっ、ワタシは治らないほど悪いんですか！！」と言ったそうである。歯医者なのに。
温かい気持ちになって西宮をあとにした。東急ハンズに寄り、その後まだ明るい三宮の東門を歩くと、意外な人物に出くわしたりする。ヤクザに追い込みを掛けられて消えていたヤツ、薬物中毒で東京にいるという噂のあったヤツ。「久しぶりやな」僕は声を掛けて、元気かどうかだけ聞く。その場所にいない人間は、何を言われても仕方がないものだ。
「神戸にいること、誰にも言ってないんですよ」ということは、誰にもこのことは言わないでということなのだ。それは寂しい。
僕だって間違いだらけの人間だ。人を傷つけていたり、不信感を抱かせたり、騙された、裏切られたと思わせている相手もいるのかも知れない。一緒に仕事をしたかった人々にも、迷惑をかけることもあった。その他、誤解も多い。
ただ、僕はココにいる。それらを受け止める場所がある。
新しい記念館やミュージアムもいい。しかし、移築して建て直されたあの旧社屋には、社歴345年の歴史をも受け止めるチカラがある。
そこにいないと悲しむ人々を救う、本物のチカラだと思う。
※今日のヒトコト
【 また、引退する者、フランスに向けてリハビリに励む者が店に来た いずれにせよ、彼等を応援するスタンスは変わらない】
※志賀氏的伝言板
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※加納町 志賀とはどんなヤツ？
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