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■ 中毒性日記 2006
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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金曜日の夕方、慣れない大阪での現場説明会に色々複雑な世界を垣間見て、それを「熱い」うちにクライアントにお話しできたことは良かった。信頼関係は、いい情報ばかり伝えていては築けない。

木曜日、また店で横になったら眠ってしまって、金曜の予定上これはこのまま三宮にいる方がいいなと、続けて更に午前中、店のソファで寝た。ご存じの方もあるかと思うが、あそこはホントに眠れる柔らかさがいい。午後打ち合わせ前に、ずっと気になっていた銭湯に行くことにした。

「寶(たから)温泉」は、僕の店から北に上がってそれほど遠くない場所にある。どこからどう見ても、今流行のスーパー銭湯でもなければ、クアハウス系でもない。「時間ですよ」に出てきそうなニッポンの銭湯である。暖簾が出ているから開いているのだろうけど開いてる感じがしないのは、時代にそぐわぬ外観か、マチのニーズに合わなくなったせいか。お決まりの「ガラガラ」木の扉をスライドさせて、もう何十年かぶりに銭湯に入る。

木の鍵札の付いた下駄箱が現れる玄関口。靴を脱ぎ、実は結構好きな番号「42」を選ぶ。そう言や、たまたま42歳の僕は、再びもう一枚の男湯と書いた木の扉を開ける。「カコーンッ、カコーンッ」と洗面器の響く音が聞こえるその中は、まずは番台。「お幾らですか?」と聞くと、婆さんは少し首をプルプルと震わせながら380円と言う。僕の記憶ではまだ200円台の頃、なぜかゲイの有名なデザイナーと広尾の銭湯に行った以来である。

冷蔵庫にはみかん水、これもお決まりの腰に手を当て一気に飲み干せ、コーヒー牛乳とフルーツ牛乳。シャンプーや石鹸、タオルなども販売しているが、おそらくその「メリットシャンプー」は古いパッケージのままだ。レトロな扇風機(プロペラはセルロイドではなくベージュ色のスチール)と、秤と言った方がしっくりくる体重計。床はゴザ調の竹ひご仕様。残念ながらロッカー42番は、先に爺さんが使用中で諦めたが、やはり木の箱でできている。一気に昭和にトリップした僕は、ナンだか初めて銭湯に来た子供のようにワクワクした。

「カコーンッ、カコーンッ」の中に入ると、流石に富士山じゃないけれど、無国籍な風景画が、期待通りにタイルで描かれていた。既に3人の爺さんが、座る椅子もない浴場で黙々と身体を洗ってた。年の頃は間違いなく70歳代以上。中には未完成の入れ墨を全身に施した爺さんがいて、その背中には天女が優しく微笑んでいた。おそらくは若い頃から、公衆浴場には苦労したことだろう。ここは今では、憩いの場なんだなと思うと泣けてきた。

シャワーは数台あるが、ほとんどが水と湯が別々に出る蛇口。座る場所がないということは、丁度立ち上がったところに鏡がある。その鏡には昔ながらの、今も残っているのか定かではない広告がある。

『男を創る!ヘアサロン○○』『大事故修理は、オートボデー』

そういうもの達を眺め、タイルでできた湯船につかり鼻歌を歌いそうになったが、暫し昭和を懐かしみながら、ホントは弱い湯の中に珍しく長居した。天井の真ん中は吹き抜けで、自然光が入る。その吹き抜けの向こう女湯では、女性の世間話がハッキリと聞こえてくる。もちろんその声は、どう考えても婆さんのものであった。生まれる前の昭和を垣間見た気がした。

入れ墨の爺さんと時を同じくして脱衣場に出て、爺さんは体重を量り、僕は番台の婆さんの目線を少し気にしながら着替えに入った。婆さんからしたら、ちょっと美味しい光景なのかも知れないな。久々の獲物と言ったところか。

帰りに、「朝は何時からやってるのですか?」と聞いた。

僕はまた来たかったし、所謂朝一番風呂というやつを味わってみたかった。

「朝?……もう昼の2時からしかやっとらんのです」

あとで人に聞けば、この銭湯は震災直後にマチの人々に風呂を無料開放したそうである。また来ますと、それがいつになるのかアテにならない言葉を吐いたけど、また来なければと本当に思った。


※今日のヒトコト
【近頃はデータのやり取りをメールでできるので、イマドキ大きな図面をA1サイズで抱えたり、筒に入れて歩いている建築関係者は少なくなった つまり職種が判りにくい現代だ その昔は士農工商で、武家・農民・職人・商人の見分けが付いた  今だからこそ、佐川急便は飛脚の格好で走るべきだ!


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