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10日朝まで観たワールドカップ決勝。僕の想いに則って、PUMA（イタリア）が優勝した。内容はと言えば拮抗した試合、如何にも決勝戦に相応しい。それは各々チームの現況、置かれている立場とは無縁のフィールドだった。
フランス代表・ジダンは周知の通り、今シーズンでの引退を決めていた。予選リーグから試合毎にキレを見せ始めたジダンの想いと共に、チームは勢いを増しこの日を迎える。メディアでは、ジダンの生い立ちやサッカーに於けるステイタスからは想像できない現在の生活、家族への想い、その人柄を褒め称え特集した。「有終の美」を演出する、それらはそのお膳立てとなるはずだった。
そのジダンが、一発退場レッドカードとなる。詳細は追々解ることだろうが、イタリアDFマテラッツィの老獪さが光ると見るのが堅いようだ。元々ラフプレーや酷い言葉を吐くタチの選手らしいが、伏線はあったとしても、この試合をいいカタチで終わりたいジダンの、あの頭突きを誘ったことは大きい。
ジダンはレアル・マドリードに移籍する前にはイタリアのクラブチーム「ユベントス」にいた。そこで、同じく頭突きで退場を喰らってる。その試合後、僕の好きなエドガー・ダーヴィッツと共に罰金を支払っていた。その他にも一発退場の過去がある彼だが、カッとしやすい性格なのか、かなりイヤな部分を付くヤツがいるのか、それにしても退場が多いジダンであることは、少なくともこの決勝戦前には消え去っていた評価だった。野球メジャーリーグのキャッチャー（昔の野村克也もそうだった）は、打者に色々話しかける。平常心が、プロフェッショナルと同意語のはずだが、ジダンにとっては屈辱的な言葉を投げ掛けられたとしても、冷静さを欠く悲しい結果となってしまった。
一方イタリアにも、とてつもないスキャンダルを背負ったままの今大会出場の背景があった。ジダンがいた「ユベントス」にも、その疑惑が掛かっている。
『イタリアサッカー史、いや世界のサッカー史でもこれほどのトップクラブが関係した不正スキャンダルは類を見ない。ユベントス、ACミラン、パルマ、フィオレンティーナ、ラツィオ。審判への圧力と操作を背景にしたこの疑惑が持ち上がったのは今シーズン終了後だった。4つのセリエAクラブの幹部およびイタリア代表からも13人が事情聴取され、来週にもローマのスポーツ裁判所から判決が出ることになっている。
検察サイドはユベントスにセリエCへの降格と過去2シーズンのタイトルの剥奪、それにミラン、フィオレンティーナ、ラツィオにはBへの降格を求刑している。アズーリを動揺されたのはこれだけではない。決勝トーナメント1回戦のオーストラリア戦後、今季で現役を引退しユベントスのスポーツディレクターに就任していた元イタリア代表ジャンルカ・ペッソット氏がトリノのオフィスで転落事故に遭った。彼はまだ病院で命がけで戦っている。
キャプテンで自身もユベントスでプレーするDFファビオ･カンナバーロはこう語る。「チームメートの動揺はひどかった。大会中の7試合の間にいくつも困難な瞬間があったんだ。私はこれをなんとか鎮めようと日々努力した」
今大会好セーブ連発で再び世界No.1GKの座を勝ち取ったと言っていいジャンルイジ・ブッフォンは、Ｗ杯前に賭博容疑からローマ警察に呼び出しを受けた。またカンナバーロ自身も、2年前にインテルからユベントスへ移籍する際に、わざと移籍しやすいようにインテルで緩慢なプレーをしていたと糾弾を浴び、一時はキャプテンマークを返上しようとしたという騒ぎもあった』（7/10 AP通信）
優勝トロフィーのすぐ横を、うな垂れて退場したジダン。PK戦を制し、子供のように歓喜に乱舞したアズーリ・イタリア代表。この日だけは明暗を分けた結果となったが、今日からは現実が待っている。
イタリアが賜杯を母国に持って帰ったところで、罪の行方は解らない。ジダンの退場も、時が来ればまた美談に変わるのかも知れない。しかし、「何が何でも勝たなければならなかった国」と、「気持ちを抑えきれなかった個」は、忘れようのない歴史に名を刻んだことには変わりない。
※今日のヒトコト
【 さて、三宮に人々が戻ってくるか？ 】
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