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火曜日、納期の迫る朝の段階で二つの案件の変更があったが、DTP業者の敏速な対応に胸を撫で下ろす。長年の関係が、イレギュラーもレギュラーのようにこなしてくれる。仕事は一人ではできない。この関係性は尊いものだ。
画家と言うよりは「だまし絵」という評価が高い、エッシャーやダリ。邪道と言われようが、アートディレクションを感じて好きである。そこに「仕掛け」があって、それを有する(見る・観る・使う・持つ)人がいて、そこにストーリーがあるのならば、それは世界に一つの作品となる。
夜、店に入る前に最後の納品をした。4/22にグァムで式を挙げる、同い年・S氏のインビテーションである。今回は、それこそイレギュラーな始まりだったが、そのストーリーに食指を動かされた。フォントも色もレイアウトも、デザインに関わる限り、何を聞かれても語ることのできるストーリーが無いとイケナイ。
僕が最初に『結婚』というテーマで世に作品を送り出したのは、Steelers南條夫妻の披露宴カードだった。よく、お礼と新居の案内を各席に置いてあるものだが、過去にない・彼等らしい・残してもらえるモノとして考えた末、結婚という筆文字を書き新郎顔写真、結婚に至るエピソードをそこに表現できたと思う。
ホテル時代を含めると、挙式・披露宴は飽きるほど見てきた。「兄弟舟」も「てんとう虫のサンバ」(てんとう虫の格好をした産婆さん劇は面白かったが)も、「乾杯」も何度も聴かされた。「三つの袋の話し」やいつまで続くのか長い挨拶、航空会社関連婚礼の客室乗務員制服によるスピーチなど、一度目はいいが、何度も続くと嫌気のさす話しも多い。とにかく日本の慣例ほどに、堅苦しいくせにちょっと崩すと滑稽なものはない。この際、やるなら思い切った方がいい。
今回、S氏が僕に依頼したイレギュラーは三つ。式の招待状は出欠確認を取るものではなく、決まったメンバー(21名)に直接手渡すもの。実は2度目の結婚であり、6年目にしての招待状であること。そして、志賀のセンスに任せるから途中のチェックは無し。最後のは、結構辛い依頼である。
当然、文言やレイアウト・色など途中の確認があるべきで、志賀イズムを放り込んだとしてもクライアントを納得させた上で、協議しながら進めるのが通常である。ある程度ヒヤリングした背景と、同い年の感性、今までの付き合いなどを通して、皆に渡せるその直前まで僕に任せるというのだ。プレッシャーはあったが、もうその時点で僕の考えは大方決まってた。
S氏は前述の通り2度目の結婚ということで(何度も失礼)、2000年の2月に籍を入れた後、式は挙げなかった。それから6年、例えば夫婦喧嘩があったとき、口論の末に出てくる「ウエディングドレスを着たことがない」という奥様の言葉。S氏はずっとその言葉が頭から離れない。奥様には内緒で進めてきた海外での挙式の計画。そして今年4月22日、グァムで二人は式を挙げる。
僕はAir Ticketを招待客21名様分21通り、そしてチケットフォルダーを創った。やるからには、色んな航空会社のチケットを参考に、架空の航空会社のロゴ(二人のイニシャルYとTから)作製することから入り、発着データ、磁気テープ(機械には通らないが)など、本物仕様に仕上げた。招待客は年齢層も幅広いということで、いつまで経っても振り返って語ることのできるチケットになったと思う。会心作だと自負している。(画像は>>> ブログ にて)
手渡すと、ご夫婦は嬉しそうに笑ってた。 「良い式にしてくださいね」そう言って、僕は二人を見送った。
年に数回、僕はロブストなどの葉巻を薫らす。ショートタイプのシガリロは吸っても、太いシガーは、時間と気持ちの余裕のある「自分への褒美」の時だ。
その夜、誰もいない店でシガーを薫らせた。 二人への祝いと、僕の褒美のためだ。
銘柄はハバナ産、「ROMEO Y JULIETA CHURCHILL」である。
※今日のヒトコト
【店の片付けをしていたら、カウンター席に キャットフードが忘れてあった 】
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