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■ 中毒性日記 2005
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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雨の降る神戸の午後、4月のワインセミナーの試食会のためホテルトアロードに行った。クライアントとの打ち合わせを控えていたので、ワインは披露宴で飲まされる新郎の如く、クチュクチュ口の中で確かめたあと、シャンパンクーラーに吐き出していた。あぁ、もったいない。ココで「もったいないオバケが出るで」と思ったアナタは、既に死んでいる。

3月20日の日曜日、NGK(なんばグランド花月の略 ナンだガッカリ金時豆ではない なんじゃそりゃ)で公演がある、吉本新喜劇・川畑泰史くん(アンパンマンって呼ばれてる)がチラシを持ってきた。もしかすると店を開けるかも知れないので、19時半からのイベントは観られないかも知れないが、彼の晴れ舞台を応援したい。街に出るとよく、店に不特定多数の人が持って帰るショップカードやフライヤーがあるが、このチラシは手渡したいものである。

カウンターで同じく一人で来ていたJUNKOさんは、僕より少しだけ年上だがカッチョブーの人だ。神戸で初めて僕のことを「志賀クン」って呼んでくれた人で、それから近くなった。僕は20代前半まで京都に生まれ育ったが、川畑くんも伏見の生まれ育ち。JUNKOさんも、京都に住んでいたことがある。たまたま居合わせた3人が、神戸にいながら京都話で盛り上がる。

僕が幼稚園から小学3年まで伏見桃山にも住んでいたが、桃山城、所謂キャッスルランドというドリームランド級に恥ずかしいネーミングのソコが、今は無きことを妙に皆で残念がっていた。今実家のある山科の話をすれば、五条や三条から東に抜ける東山三十六峰途中にある、神戸でいえば六甲みたいな九条山「将軍塚」という京都を見下ろせる夜景の名所の話になった。

その昔、20年ほど前にはまだバイクも入れたから、その山のてっぺんの広場は暴走族の集会場だった。途中の山道は「根性試し」のカーブだったりしたから、事故も絶えなかった。集会の情報は地元の人間ならなぜか知っていて、その日を避けてカップルのバカ男が「ここから見る夜景が好きでね」と女性を口説く場所でもあった。ちなみに僕はそこには男同士でしかいったことがない。

その男同士で、初めて行ったのは大学の頃。割烹料理屋でバイトしていた頃の常連、元ヤクザのおじさんに「面白いところがある」と連れて行かれたのが最初だった。そのオジサンがなぜヤクザだと判ったというと、立派な屏風絵のような鯉が、肩口にそれはそれは豪快に泳いでいたからである。

将軍塚山頂に「SHOGUN」というディスコがあった。そう言えば、昔の日本テレビ系ドラマ主題歌にSHOGUNがいたが無関係、そこはすぐ横に戦国時代の首切り塚があった所で血洗い町という物騒な地名もある、少々厄介な場所だった(現在は火葬場だし)。そこにディスコ「SHOGUN」だから、御山の大将気分で天下取ったぞぉ的なバブリー人種が踊っている姿を想像したものだ。

その厄介な場所に厄介なオジサンが、メルセデスやBMWに思いっ切りパッシングしながら追い抜かしてゆく、割烹料理屋仕入れ用「アルト(軽自動車)」の助手席で、今にもヤバそうな嘔吐感を抑えながら僕は既に脳味噌が踊っていた。

ハッキリ覚えている。そのディスコとは名ばかりのそこには、ホールはあるけれど踊る人間はいない。なぜかドラムセットが置いてあって、オジサンが叩いていた。「オイラはドラマー、ヤクザなドラマー」そのままやん、とは突っ込めなかった。誰もいない店で冷たいスモークが舞って、壁全体が鏡張りだった。

その一枚が忍者屋敷のようにクルッと回転すると、その奥には女性が何人か並んでいて、どうやら「お好きな娘(こ)をどうぞ」ってな場所だったようだ。その明らかに日本人とは違う、男なら皆「シャチョサン」と呼ばれそうな女性達を目の当たりにして僕は、丁重にお断りをした。オジサンは笑ってた。

多分今でも、その手合いの店やそういった局面に出くわしても拒否するんだと思うが、あの時オジサンは大学生の僕に「男」や「社会」ってものを教えようと色々連れ歩いてくれたんだと思う。生バンドのカラオケがある、女性は常に着物姿の、祇園会員制ラウンジ(木の扉だと思ったら自動ドアが開くんです!)も、その人に教えられた。立ち向かう相手と引く相手がいることも切々と語ってくれた。弱いものイジメはするな、が口癖だった。

人を殴ったことがない人との平行線は僕のジレンマだが、それを全く感じさせなかった世間一般に「悪い人」と言われたあのオジサンからは、やっちゃいけないことと、何を置いてもやるべきことを教わったような気がする。

まだオジサンのあの鯉は、元気に泳いでいますか。

オジサンの歳になった僕は、神戸で、藻掻きながらも泳いでますよ。


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