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■ 中毒性日記 2004
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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ずっと雨の降る神戸、車が可哀想になる。

湿度があれば首も背中も痛いことはいつか書いたが、この日もやばかった。うっとおしい天気と同じく、僕にもうっとおしい話があった。でもそんな時には、仲間に救われる。知らぬ間に痛みも、しんどい気持ちも何処かに行くものだ。

8時から店が開くのに、7時に電話が入る。大学ラグビー部の同期からである。今から店に来るというので、渋々開けることにする。もう一人、一つ下の後輩を連れてきてカウンターに彼らは座り、僕も一緒に飲む。

今ラグビーをやってるわけじゃないが、彼らはデカイ。特に僕の同期は、現在も消防署員である。震災当時の神戸にもやって来ていた。瓦礫の中から人を救い尽力したが、亡くなった方々の運搬に「何もしてくれなかった」と責められた。あの頃の「人不足」にもどかしい思いがしたそうだ。

今はそんな優しき彼だが、昔から身体がでかく、大学の頃ちょっとヤバイ仕事に手を出していた。1年ほど行方不明になり、僕の実家のある京都山科で偶然再会したときには、パンチパーマで組関係の運転手をやっていた。僕は説得もしたし、大学に戻るように言ったが聞き入られずに、チームメイトへの説明にも苦労した。彼は僕のいない時の実家を覗いたりしてたと、後に母親から聞いた。

大学に戻ってきた彼は持ち前の体格の良さで現役復帰し、一学年留年というカタチで僕等より後に卒業した。それから20年の間に、多分一年に一度くらいの連絡がある。でも会う度に繋がってる感じがするヤツである。 店を始めて9年になるが、来たのはこの日で4回目。この日も半ば強引に「開けさせた」し、来てすぐに30分も携帯で話してる。相変わらず失礼なヤツだと思いながらも、他にはお客様はいないし、後輩は相談があると言うので僕は彼の話を聞くことにした。

生保の営業をしている後輩に「誰かご紹介を」とのことだったようだが、僕はこの手の話が苦手である。人間関係はいきなりの名刺交換からは希薄に映る。だから、こうして会ったこと話したことは僕の記憶に残しておくが、紹介をするという約束は出来ない。出逢いがあって、その先に繋がるモノの方が堅い。だから、またこの店での出逢いがあるかも知れないし、違うカタチで君とジョイントできるかも知れないよ、なんて話してた。その方が楽でしょお互いに、と。

同期はやっと電話を切った。何をしゃべっとんねん!と彼に突っ込むと、

「お前の母ちゃんと話しとってん」

と言った。冗談かと思ったが、京都の母に彼は本当に電話していたのだ。友達のように話してたから、どうせくだらない話だろうと思ってた。「今度京都行って、お前の母ちゃんとデートしてくるわ」と笑ってた。

京都に滅多に帰らない僕だからそれはとても有り難いことで、「母ちゃん、頼むわ」と照れながら言った僕に、「まかせとけ」と返した彼が嬉しかった。

仲間に救われる。それを親友という人がいるが、僕はそういう表現ができない。やっぱり理解し合える「仲間」なのだ。それは苦楽を共にした同志。そしてアイツにとって僕の母親は彼の「仲間」のようなんだと思う。

どうしてそう思ったのか。

彼が「あの世界」から足を洗ったのは、どうやら母親のせいらしい。


※ダジャレー男爵の『出逢い系・純情派』単方向BBS
本日金曜日21日 大阪に行くので、店は少し遅い開店です】

加納町 志賀とはどんなヤツ?
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