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■ 中毒性日記 2003
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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神戸はえげつない雨風に包まれて、枯れ葉どころか色んなモノががあちこちに転がって、太い枝まで折れていた。ゴミ箱やバケツも道路に投げ出されていた。

13日・体育の日。ホントは休みだったのだけれど、ご予約があったので開けた。先週の金曜日を最後に、僕の好きだった神戸の映画館が閉鎖した。そのロケーション、シネマコンプレックスの台頭など、色んな理由もあったのだろう。その歴代スタッフや支配人、計8名のささやかなお別れ会だった。

僕が20代後半の頃、つまり10年ほど前「アート系」の単館ロードショーを初めて観たのがこの映画館だった。まず観なかったフランス映画「ベティブルー」でヒステリックに激しい愛に驚いた。ル・コント「髪結いの亭主」、リュック・ベッソン「グラン・ブルー」に触れたのもこの映画館だった。この頃からインテグラル、所謂完全版やディレクターズカットなる言葉が世に出てきた時期だ。

英国映画「ハワーズ・エンド」は難しいという触れ込みで観なかったが、同国映画の「クライングゲーム」で、前半で殺されてしまうフォレスト・ウィテカーの演技に目を奪われ、後に僕の注目の俳優となった。香港「覇王別姫」はまだその頃は観ようと思わなかった、ゲイを描いた映画だ。クエンティン・タランティーノの出世作でもある「レザボア・ドッグス」は、ハーヴェイ・カイテルやティム・ロスの出世作にもなった。好きな映画で、何度も観に行った。

席数も多くはないが、綺麗で混雑もしないイイ映画館だった。「麗しのサブリナ」など、リバイバル上映もいくつか観た。ゆったりと観られる、しかしそれが仇となった。時代の流れに逆らうことが出来ず、ヘラルド系のこの館は「ラストアクションヒーロー」、今は旬のシュワルツネッガー主演の映画など、エンターテインメント系も上映するようになる。数年の時が経ち、やがて時代の流れには逆らえず、閉館の日が決まってしまう。

いい映画館はゆったりしてるし、居心地も良い。人の頭に邪魔されたり、話し声など聞こえない。そこにはマナーやモラルがあったし、それが作品に対する敬意でもあった。そんな映画館は少ない。映写機の音が聞こえてきそうな映画館だった。デジタルリミックスの時代になっても、ムービー・シアターというよりも「シネマ・スクリーン」という言葉が似合う映画館だった。

店は貸切にしたわけでもなかったが、結局彼らが居る間に他にお客様は来なかった。ずっと開けていてお客様を詰め込もうとすることは何だか違う感じがして、彼らが出て行って僕は、早々に店を閉めた。そして無くなった映画館のことを思い出しながら、彼らの居たさっきまでの余韻に浸ってた。

あの頃の映画のように、彼らとあの映画館もまた僕の記憶に残すために。


※「志賀」本日のコトゲンゴンそ10《一(言)・提(言)・一過(言)》
【ハスラーのことをビリヤーダーと言っていた母は、吉川晃司のことを「普通の名字やね」と、ずっと「よしかわこうじ」だと思ってたらしい】

※ラブリー志賀の「干しぶどう日記・5日目」>>>キッカケはコチラ!
【暴風雨にも負けず、強くぶら下がっている葡萄達である 今日で五粒が落ちている このまま全部落ちないように願う なぜなら僕が育てているのは「枝付き干しぶどう」なのだから 何も考えずに皮は剥かないで干しているが、皮付きで良かったのだろうか 今日の単純な疑問である】

加納町 志賀とはどんなヤツ?
>>>プロフィールとバイオグラフィー(一部)はこちら……

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