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■ 中毒性日記 2010
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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火曜日。移転を発表してから幾日か経ち、月曜は「重大発表」の効果も感じたりしたが、夜半の雨のせいか火曜日は静かに時間が過ぎて行った。移転が京都だったり、はたまた関西圏外であったりすれば、その反響もあるのだろうが、「アソコ」に行く訳だから、何だか反応が薄いようである。

しかししつこく言えば、移転というものは結構な決断であり、例えて言うならば清原クンが西武から巨人に行った時や、金本クンが広島から阪神に行った時と同じくらい…(いや、そんなええもんか)…大袈裟に言えば、それなりの築き上げた歴史を一旦断ってまた前へ進むのだから、実のところ寂しいことには変わりがない。この決断には、動いてくれた人、支えになってくれた人もいた。それは本当に有り難かった。人生のたった数ヶ月だったとは言えども、仕事以外にこれほど頭を使い思い悩んだことはなかった。お陰で体重は…増えた。ナンで増えたっ?

そんな中、火曜日にはハガキを見た有名精肉店社長と神戸フレンチ重鎮オーナーシェフが来てくれて、なんでまた移転するの?と聞かれたりした。色々話をする中で、「神戸は元気がない」「流行っていてもヤメる店がある」「神戸資本以外の店が多い」「神戸ではないマチになっている」という言葉が出た。

そこで、意外な話があった。

京都の河原町蛸薬師通にある、小さな「焼き芋」有名店。僕が住んでいた頃からずっと、自社ビルができるかと思われるほどの盛況だが、プレハブでトタン屋根の外観は今でも変わらない。数ヶ月休むらしいから、それで成立する商売は凄い。100g単位から焼き芋が買える、ただそれだけの店なのだが、観光客はもとより地元の若者も駄菓子屋感覚で持って帰る、不思議な店である。

精肉店社長が年に一度ほどのペースで、神戸へのおみやげだと2〜30本ほどを買い込みに行くそうだ。勿論、行列ができているわけだから時間が掛かる。その際に、そこのオバちゃんは並ぶお客さんに言うのだ。「これも、お客さんやからね」…たった100gもお客様、何十本もお客様、常連も一見もお客様だという意味だ。

京都はとかく「一見さんお断り」のマチだと思われがちである。僕が京都の生まれ育ちでこういう店をやってるものだから、京都っぽいと言われたりもするが、実のところ京都のマチや人が全てそういうわけではない。祇園や先斗町の一郭、それ以外にもそういう店があるが、方や若者や観光客に優しい店も存在する。

均一、画一化されたサービスは、どこかテーマパークのようであり、ファストフード、ファッションの流れでもある。マチの受け皿が広くなっても、深くはないのだ。かと言ってディズニーランドのように、「一度では回り切れない」からリピーターとして訪れる場所もあるのだから、それはやり方次第でもある。要するに、背筋を伸ばしてかしこまる場所や、背中を丸めて楽しめる場所もある。飲んだくれて寝てしまっても優しい店もあれば、追い出される店もある。家族で、一人で、男女で、仲間で。その場所に立つ人間のサービスは、それぞれに違うものであり、そうしてマチが形成されれば、それが商店街であっても、海の見える公園であっても、道の駅であっても、多彩な表情と新鮮な驚きを与えてくれるものなのだ。

とにかく安いからとか、流行モノを揃えてるから来てくれというマチは、そこに住まう、根付く人々の息吹を感じ得ない、「らしさ」を失ったマチだ。

ここにいることを決めた以上、僕にもサービスを住み分ける責任がある。


※今日のヒトゴトではないヒトコト&ヒトリゴト&ヒメゴトTwitter
雨だ 早めに閉めるぞ

※志賀氏的伝言板
【現在の店の最終営業29日まで、 あと10日?


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