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■ 中毒性日記 2008
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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初めて一人でバーに行く時は、あんまり先にイメージやデザインを思わずに行く方がいいんですよ。バーというところは、元々止まり木=バーなんですから、ふらっと立ち寄ってもいいし、待ち合わせでもいいし、酒を飲まなくてもいいし。

面白いもんでね、僕みたいな店は表からはイメージできないもんですから、最初はほとんどの皆さんがどこかしら背筋が伸びて座ってる事が多い。初めての家に上がった感覚か、ちょっと警戒していると言うか、敷居の高い店みたいに言われる事もある。ドア一枚くらいの敷居なんて、どの店にも家にもあるはずなんやけど。

暫くココで過ごしてまだ妙に背筋が伸びていたら、アナタの居心地には合っていないのかも知れませんよね。そうでなければ、自然に背中が丸くなって、気が付けば終電ギリギリになっていた…そんな事になるはずですもん。時間や日々の諸々を忘れてくれたと思って、僕はとても嬉しいんですけどね。

木曜日も関東からビールの営業にやって来ていた、初めての男性がいました。昨日の日記じゃないですが、僕は顔が見えない関係性で物事を進めるのは嫌なので、「電話ばかりじゃなく、関西にいらっしゃる際、一度店を覗いてください」と伝えてたんですわ。そしたら日記で僕の事を予習して、ホントにやって来た。

最初は硬かったですねぇ。矢継ぎ早に自社の商品の話、その成り立ちや想いを話し出す。他にもお客様がいたので、僕はそれを途中で遮って「まずは互いを知りましょうよ 時間の許す限り、ゆっくりしていってください」そう言いました。ハタと気づいたように、彼はそこからゆっくりと勧められるままに、シングルモルトを飲んでました。いつも酒造メーカーの営業の人には言うんですよ。僕に営業してもあんまり売上にならへんよ、営業に疲れて最後に飲みに来てくれたらええからって。自社商品ばかり飲んだ一日なら、最後の一杯は違うのもいいよって。

照明の暗さや酒のチカラか、彼は伸びていた背筋が徐々に丸くなってました。そして初対面なのになぜか、仕事の事や将来の事、プライベートを話してくれました。いつかまた神戸に来たら、必ず最後にはココに来ます。そう言って彼は帰って行きました。「あれ?僕は今日ココに、何しに来たんだっけ?」そんな顔をしながら。

初めて一人でバーに行く時は、あんまり先にイメージを持たずに行く方がいいんです。そんな事を考えながら構えても、期待通りに行かないジレンマが酒をマズくする。むしろ何も考えないで行けば、思いもよらない時間が待っているもんです。

いつまでも背筋をピンッと伸ばした人よりも、背中を丸くした瞬間の人間性に僕らは惹かれたりするのです。だからその人の事を気に掛けるし、頼み事もしたりされてもいいと記憶に残すのです。強いばかりもカッコいいのですが、その弱さを垣間見た時にもっと好きになったりするでしょう。そんな感じでしょうかね。

僕が言うのもナンですが、一人で行ける店がある人は幸せです。

それは言い方を変えれば、ホントの自分でいられる場所があるって事です。


※今日のヒトコト
その人に「惹かれる」場合もあれば、「引く」場合もあるが

※志賀氏的伝言板
8月7日、13周年イベント…しません

※お知らせ
【志賀クリエイティブディレクション担当  旧居留地東の京町筋(ジル・スチュワートの2F)に、7月13日オープンしました! >>>『cafe CARTA(カルタ)』


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