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水曜日の店が終わり3時間ほどソファで眠り、木曜日の朝そのまま新神戸の芸術センターへ向かう。「子ども環境サミットin KOBE」がこの日開会を迎え、2日間の各国地域代表の子ども達による「自国の状況報告」「環境に対し取り組んで来た事や、研究成果を発表」、金曜日には公開討議までが進められる。兵庫県では、24〜26日に開催される「G8環境大臣会合」に先駆けて、様々な地域でイベントや討論会などが行われているが、今回のサミットだけは、環境大臣会合にてその成果などが直接手渡され、報告をする機会があるという。そういった意味合いから、とても意義のある盛大なサミットとなった。
開会が午前9時。吹奏楽部の演奏から始まった。指揮をする先生らしき後ろ姿と、女子ばかりのオーケストラで、もしや？と思ったら案の定、塩屋中学の生徒達だった。昨年の「塩屋夏まつり」のリーフレットを作成した関係で面識がある。何よりも今そこで演奏されている曲目が、僕の住むマンション横にある中学校から毎日聞こえていた。このための練習だったんだな。彼らは全国的にも賞を取るほどの実力で当然と言えば当然だが、ここで聴く不思議な縁を感じていた。
その後、お決まりの「大人」の挨拶が幾つか続いた。井戸兵庫県知事（「君はラグビーやっとったそうやね」と話し掛けてくれた事がある）の話は、子供の目線に降りたものだったが、どうにも何人かの他の大人は「持続可能な取り組みを…」と、かつてロハスを総称して使われた、少々理解し難い言葉を何度も使っていた。日本に於ける行事めいた挨拶というものは、かくも難しい文言を口にする。披露宴の主賓の挨拶にも近い、少々退屈な時間だった。
今回は、週末に掲載される新聞コラムに関わった事もあるが、東京にいる妹、藤原ノリくんのゲスト出演を観に行く目的でもあった。全て事前登録制であり、抽選で入場が選ばれたりしたサミットだったが、やはり「彼女狙い」の方々も多く見受けられ、その影響力に改めて驚かされた。彼女がメインリポーターだったNHK「エコ2008」での映像も絡めた、このまま温暖化が進めば10年後には水没の危機を免れない南の島ツバルの現状報告、そしてその番組で訪問したツバルの親子も壇上に招き入れての話。ノリくんの「宝物は？」という質問に、14歳の少女は「私達の島と家族」と答えた。もう既に水没が始まっている近くの島もあり、自給自足のこの国は、昨今持ち込まれる様になった不燃物ゴミの処理の仕方を知らないので、それが一郭に溜まる一方である。美しいリゾート地の様に見えるこの国に、水害塩害により野菜は育たない。言葉を失う現状が、同じ地球に存在する。
その後アテンドの方に導かれ、控え室に向かうとちょっとした行列ができていた。取材直前、最後の最後に入れてもらう。旦那が調子悪いのに、プロフェッショナルの彼女は、壇上では子供達に向けて、台本にない強い口調で訴えかけていた。達成感なのか満足な表情のノリくんは、いつも通り元気な関西弁で笑ってた。彼女のご両親もその中にいた。何度も会っているお母さんなのに、「ソガさん」といつも間違えられる。その間違いの方が難しいぞお母さん。ノリくんもお母さんも、カタチは違うがお揃いの首飾りをしていた。それはツバルの少女からのものだった。
ツバルからやって来た少女は屈託なく、目が合えば必ず笑う、とても子供らしい女の子だ。樹木と小さな貝殻で作ったらしい。そしてノリくんの頭には、ココナッツの木を乾かして作った冠があった。これも彼女のお手製だ。「君は凄いね！」適当な英語で僕は言うと、14歳の少女は飛び跳ねる様に僕に近付いて握手を求めて来た。「君に会えて本当に嬉しい」僕が言うと、彼女は通訳らしき女性に抱きついて、その褐色の顔でも充分に判るくらいに顔を赤らめて、はにかんで見せた。
日本。何不自由のないこの国で、不自由だと人は不満を零す。不条理だと身勝手に、犯罪も繰り返される。皮肉なものだ。今まさに温暖化で国自体が消滅する危機にあるツバルの少女は、日本のどの子供よりも素敵な笑顔に見えた。
宝物は、国と家族。
そう簡単には答えられない僕には、遠い国から来た少女が眩し過ぎた。
※今日のヒトコト
【ノリくんとの写真はまたいつでも撮れる この日に出会った、 ツバルの少女と写真を残すべきだった と、後になって気付いた】
※志賀氏的伝言板
【 24、25日は神戸＆毎日新聞朝刊（関西版）に注目！ 】
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