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木曜日には朝から不安定な雷雨もあり、残暑という言葉も聞かれて少し過ごしやすくなった感もあるが、まだ沖縄タイムの時差から戻れずにいる。こんな時には気分を変えて、フラッと立ち寄れる安心の店に行く方がいい。三宮大学教授が若かりし頃よく覗いていたという、「敷居の低い」鮨屋である。
19時前に誰もいないカウンターの端に座る。老夫婦は覚えてくれていて、こないだはジョージ南條が家族で来たとか、三宮大学教授さんは元気かとか、共通の知人の話しを振ってくる。やはり安心の店である。見るとオヤジさんはそんなことお構いなしに、天井に近い小さなテレビに見入ってる。聞こえてくるのはAMラジオで、それはすぐに阪神対ヤクルトの試合だと分かる。
「グライシンガーにやられたわぁ 今日はアカンな」
婆さんはまだ1対0の段階で、今日は負けてもええ、その代わり巨人が勝ってくれたら面白くなるわ、しかしこのピッチャー球が浮いとる、こら打たれるでと話してる。それからすぐに、満塁を背負ったそのピッチャーはホームランを見事に打たれてしまう。爺さんは、ボール球打ちよったなぁと言うと、婆さんは、ちゃうちゃう高めに浮いてるからやと、かなり的確に手厳しい。
「グライシンガー…?」
野球に全く詳しくない僕にすれば、流石に泣き上戸な歌手(クライシンガー)だとは思わなかったにしても、それが新しい球種(グラインドするシンカー?)なのかなんて思ってた。「コイツやコイツ、さっきタイムリー打ったんわ」と出てきた男がグライシンガーだとやっと解り、画面に表れた打率が.096ということで、この獣神グレンダイザーみたいな男がピッチャーだと知った。婆さんは、その辺の解説者よりよっぽど野球通であった。他のお客様が入って来た頃、東へ、三宮に向かう。
店。深夜お客様が引けて、プラッシー谷中だけになったので「中華行く?」と、子機が届くいつもの中華を覗いた。ここも神戸タイムを感じさせる安心の店だ。最近日本語情報処理2級を取った中国人息子18歳がいたので、「日本語情報処理ってどんなことをするの?」と聞くと、「ワープロ、エクセルワードナドイロイロヤリマス ボキモ3キュウモッテマス パソコンケンテイモモッテマァス」とまた自慢気に返された。「頭いいんやねぇ」谷中クンが言うと、「アタマヨカッタラ1キュウトッテマス」と謙遜なのか、本当にそう思っているのか、日本人のように返す。
「シケンマデハオボエテルケド、シケンノアトハコワイクライニワスレマスネ」
僕には、君のそのでき過ぎた日本語の方が怖い。
※今日のヒトコト
【 行く先々で、そういう店があると嬉しいもんだ 】
※志賀氏的伝言板
【 店にシークァーサー原液入手!これ使えます!! 】
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