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静かな金曜日の夜は明けて、朝方まで向かいの玉撞き屋とはもう呼べない店で、店員入り混じっての4人ダーツ。店に戻って仮眠。ランチを北野坂UPWARDSで。メールのチェックと日記の更新を終えた。さて、風呂屋に行くか、クアハウスに行くか、スパに行くか。考えてたら、ある男を思い出した。
以前神戸製鋼にいて連覇の立役者の一人だったKが、今は女性の美容業界に転身を遂げた。ウエディング業界の大手、テイク＆ギブニーズは同じく明治大学出のラグビー選手だった男が代表を務めるが、そのBeauty部門である。6店目となる神戸は9日にオープンした。そいつが立ち上げに関わっていて、ずっと神戸に滞在している。男性でもOKというので、風呂入りがてら訪ねることにした。
はっきり言って、僕はサウナの類いが苦手である。大概、2分と持たない。今までで一番長く入ったのは、荒川静香が金メダル取った後のエキシビジョンをたまたまサウナの中のBSでやってて、思わず見入ってしまい出るに出られなくなった時だけだった。そもそも、ジッとして汗を掻くことなど、風邪を引いて布団で汗掻くことと大差ないとまで思っている僕としては、何とも不自然な行為に映る。うつ伏せになったり裏返ったり……焼き鳥かBBQの肉みたいではないか。
Kは僕の大学時代と同じポジションで、神戸にいた頃はよく一緒に騒いだ。僕の店でスコッチを飲み、床に眠らせたのは僕だった。酔いつぶれた六本木で、こいつをホテルで借りた車椅子に乗せて、部屋まで運んだのも僕だった。「負けた時に騒げる店って他にないからね」と言ってくれたヤツでもあった。
確かに、あの頃は勝っても負けてもチームまとまって飲んでいた。つぶれるヤツ、殴られるヤツ、泣き出すヤツ、眠るヤツ。世代を、立場を超える飲み会。どうやらそれはスポーツの世界だけでなく、世間がそういうことをしなくなった。それぞれ過ごし方は違っても、「同じ場所で時間を共有した」という事実は後の「力」になったはずだ。単純だが、至極大切な時間だった。
そんな「近い感覚」のするKを訪ねると、いかにもエステかリラクゼーションか、受付は若い女の子しかいない。「先輩、どこから入ってきたんですか？」今もデカイ男が、今は小さく細い僕を見過ごしていたようだ。「オッ、オレ、こういうとこ初めてなんですけど……」いかがわしい店にデビューする男のように僕は話すと、「じゃ、一緒に入りましょうか」とKは言った。
「いっ、一緒ぉ～？」
僕は、溶岩浴というものをよく知らなかった。40前後の男が二人、「先輩、まだまだいけますよぉ」「そういうお前もなかなかどうして……」と裸で背中を流し合う姿を想像して、少し頬を赤らめた僕だった。「あの、ゲイじゃないですから」受付の女の子に言いそうになったが、案内を受けて部屋に入るとそこには全ての着替えとドレッシングルーム、シャワーがあり、奥の溶岩浴の部屋にはちゃんと二人分のスペースがあったので、僕の想像は溶岩と共に溶けた。全然上手くないな。
こういうところに一度も行った事がなく、比較対象がないから効果は解らないが、とにかく異様な汗が出た。温度も低いという事もあって、うつ伏せ5分、仰向け15分、クールダウン5分という繰り返しも苦ではなかった。外に出ても暫くは、身体の中からポカポカ（なんていう擬音）するのが解った。湯冷めはし難いのだろう。いずれにせよ、続けないといけないもんなのだな。
『富士山の溶岩から放出される遠赤外線によって身体の芯まで温まり、大量の汗と共にデトックス 現代人に不足しがちなマイナスイオンやミネラルを身体がたっぷりと吸収し、全身がリセットできます』
やはり無駄な脂を落とし、旨味は逃がさない炭で焼かれる鳥気分だ。
※今日のヒトコト
【 本日と月曜休む 】
※志賀氏的伝言板
【 発売中の「BRIO 3月号」P.108に志賀が…… 】
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