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木曜夕方、神戸スポーツの明るい将来への打ち合わせと、高級イタリア車のファクトリーロゴの打ち合わせを終えた。どうやら寒くなりそうなマチである。
店のオープン前に、今更ながら「キル・ビル Vol.1」（'03）を観た。先に言うけど、僕は好きな類いだ。黒澤や深作作品へのオマージュとも取れるが、asicsのシューズやコスチュームはブルース・リーの死亡遊戯を思わせる。クエンティン・タランティーノは、アニメやカンフー、そして日本が好きな子供のような人だ。
初めてタランティーノ作品を観たのは、92年の「レザボア・ドッグス」である。ブラックスーツに身を包む、その道の「ワル」であるプロを招集し宝石強奪を企てる。掃き溜めの犬達（レザボア・ドッグス）に、裏切りが訪れて……まぁそれは観てください。やはりタランティーノは、深作ヤクザ映画をよく観ている。
レザボア……では、「スモーク」の渋い演技が光るハーヴェイ・カイテル（なぜか北野武とかぶる）、のちにGUCCIの広告に起用されたティム・ロス、俳優ショーン・ペンの弟クリス・ペン、タランティーノ自身も出ていた。でもその個性派の中でも異彩を放ち、ワルの集まりの中で異様な残虐性を演じ切ったのは、安岡力也のような風貌のマイケル・マドセンその人であった。
「キル・ビル」にも主人公の復讐の対象になる、殺し屋集団の一人として出ているが、Vol.2にその戦いは持ち越されている。こんなことなら、1と2パックのDVDでも買えばよかったが、周りでもあんまりいい評判を聞かなかった本作だけに、仕方のないところだろう。とにかく僕の心は、もうVol.2に行っている。
映画や小説というものは、デザイン同様、歴史の中の１ページにしかすぎないものである。解りやすく言えば、それは何かのオマージュであったりパロディであったり、明らかに影響を受けている作風であったりするのだ。それを「パクリ」と判断するのも、○○風だと評価するのも自由である。しかしながらそれは「サザンって、どれを聞いてもサザンである」ということが、いい意味と悪い意味合いに分かれることと似ている。「タイタニック」と「ポセイドン・アドベンチャー」、「バック・ドラフト」と「タワーリング・インフェルノ」、今と昔の近いシチュエーション作品を知っているのと知らないとでは、やはり感じ方が違うものだ。
噂によると、Vol.1はオマージュ作品で、2は違うテイストらしい。確かに1では、僕が9歳の頃サインをもらった千葉真一がハットリハンゾウという役で出ているし、日本人が日本刀を持って移動しているのは、わざとだと解った上で笑える。ユマ・サーマンが日本刀を振り回してた「日本風（？）」のレストランのオーナー？は、なんと風祭ゆきだった。日活ロマンポルノの香りがプンプンした。エンドロールに梶芽衣子（女囚サソリ！）の「恨み節」が掛かるなんてぶっ飛んでる。
2006年の邦画興行収入が、洋画のそれを抜いた。しかし未だ、日本の作品がハリウッドに近付くことは少なく、「キル・ビル」のようにハリウッドが日本にアプローチしてきた数少ない作品（イーストウッドの「硫黄島からの手紙」もそうだな）にも見られるキーワードは、近頃の邦画と同様「昔の日本」である。
懐古主義は悪くない。
しかし、今の時代を直視できない日本は、どこかが病んでいる。
※今日のヒトコト
【 ドラマ「華麗なる一族」もそうなのか 】
※志賀氏的伝言板
【 発売中の「BRIO 3月号」P.108に志賀。ぷぷぷっ。（店は載ってない） 】
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