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穏やかな日中の木曜日。関わっている案件の施工会社入札。その現場説明会に大阪に出向き立ち会った。今、和歌山辺りで問題になっている談合、収賄などあるはずもない。施工会社の担当者はどの顔も真剣だった。竣工は来年11月を目指す。神戸に新しい顔を創るべく、僕のディレクションがまたスタートした。
しかし夜になると寒くなった。お陰で店も寒い…（T_T）子機が届く範囲で、時間潰しに向かいのダーツをやったりするがそれも限界である。金村先輩のようなパトロールと称して街を歩くほどの潔さはない僕は、店の中で幾つかの案件に取り組んだり、考えが浮かばないときには本やDVDを観る。
先日なんて、2時間45分の超大作を観終えてしまった。それが表題「風林火山（'69）」である。
元々、戦国武将には詳しくない。学校の歴史で習ったというよりは、小説だったり漫画だったりしたものだから、少々偏った見方になるのも嫌だった。サイトではどこかで書いたが、一人の謀将は好きだ。それは今から数年前、暇を見つけると店にジッとしない僕にブルマンがくれた「41（フォーティワン）ゲーム」に関係する、一人の軍師について興味を持つことが切っ掛けだった。
そのゲームは山梨のオジサンが、自宅の蔵の中で見つかった武田信玄に関する書物を発見することから始まって、信玄の知恵袋、山本勘助の編み出した戦略法「遠交近攻」「キツツキ戦法」をゲームに当て込んだ（ついでに、そのゲームのカタチが武田家の紋章だという後付けも）モノだった。そのゲームの攻略のため、まずは山本勘助について知ろうということで歴史本を読んだ。読めば読むほどに、この策士は戦国のクリエイティブディレクターであるということが解る。
どうやら来年のNHK大河がこの山本勘助を描くことになっていて（お好み焼き「斉元」のオバチャンが好きな、内野聖陽が主役らしい）、やっと時代が追いついたかと思っていたら、僕の5歳の頃、つまり1969年に映画「風林火山」として、これがまぁオーシャンズ11並みのオールスターキャスト（当時の5社協定破り！）で作られていたことを知り、アマゾンで仕入れたDVDを観たわけである。
『疾如風 徐如林 侵掠如火 不動如山』
はやきことかぜのごとく、しずかなることはやしのごとく、しんりゃくすることひのごとく、うごかざることやまのごとし。有名な孫子の旗から「風林火山」と恐れられた武田軍ではあるが、何よりも畏れ多いのはこの主役、山本勘助の三船敏郎であった。制作が三船プロダクションだということもあるが、豪華キャストを食ってしまう存在感（主役だから仕方がないか）は尋常じゃない。
なんせ、武田信玄役、中村錦之介も世界のミフネに掛かってはただのタケダくんだった。若手のスター石原裕次郎も越後の虎こと上杉謙信を演じるが、セリフ無しの始末で、物真似のゆうたろうでも分からない。同じく若手として、こちらは結構セリフの多い田村正和や緒形拳まで出ているが、ミフネはやはり喰らいまくる。どの映画を観ても「三船はミフネ」という、カモメはカモメみたいな哀愁も、役者を越えてしまった偉大ささえ感じてしまう。渥美清級だ。
その中で、諏訪の姫役・佐久間良子（女優さんは凄いね 今でもお綺麗ではないか）が言うセリフに惹き付けられた。
「勘助 少しは歳を取りなさい お前は本当に変わらない」
これがナンだか、僕に言われてるようだった。
立身出世よりも、後世語り継がれる合戦、時代の名勝負を世に仕掛けた陰の参謀、軍師・山本勘助。僕はまだまだ彼には及ばないが、残す足掛かりはある。
ただし、ミフネほどに目立ってはいけない。
※今日のヒトコト
【この37年前の映画は165分 当時、映画館では途中で「休憩」の文字が出て二回に分けた 観劇、舞台の幕間の名残だったのだろう】
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