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土曜日、メリケンパークの花火にこだまして、ドンドンと音だけがする。こうして店の中からその音を聞くのも、もう11年である。
夕方、大丸に行った。ちらほらと浴衣姿を見かけると、この喧噪も掻き消されるほどの安堵感が訪れる。いつもは閑散としている百貨店の喫茶も、待ちが出ていた。人の多い場所は苦手だが、神戸に人が多い光景は嬉しい。
店には、その花火帰りのご夫婦、TOYOTAレクサスの役員が来ていた。新婚の奥様は、相沢紗世にクリソツの(死語)美人だった。9月に、レクサスの新車発表会がホテルオークラであるらしい。顧客限定の展示会に、僕を招待してくれると言う。その会の評価を欲しいそうである。
基本的に、出来上がりを評価することはしない。そのプロセスを知らないし、陰の努力も見えないからである。だから純粋に滅多に見られないイベントとして、その客層や見せ方について楽しむつもりである。
なぜかこのブランドの方には「そういうこと」を求められる。車好きの僕としては都度感想を言うし、フライヤーやパンフ、販促に関して興味の範疇を語る。
しかしなんだかんだ言っても、今流行言葉の「費用対効果」よりは、CS「顧客満足度」に於けるホスピタリティに行き着くものである。
大がかりなイベントは打ち上げ花火のようである。多くの人々に歓声を上げさせて、その一瞬、刹那を魅せる。しかし終焉は儚く、暗くなったその場所から立ち去る人々の列ができる。それは、例えばスポーツの試合観戦の後にも似て、あまりにもあっけない幕切れは切なくサボタージュする。だからイベントは、その終わりを更に演出するモノが欲しい。終わってからの交通整理、警備員が持つスピーカーからの無機質な案内とは違う、人々を「送り出す・見送る」仕掛けだ。「もてなす」とは迎えるときだけの言葉ではない。
しかし比べてみれば、僕の店は線香花火だと思う。決して打ち上げはしない。仄かな灯りにも似た、遠慮がちな始まりから、最後にポトンッと落ちる終わり。最初から最後まで同じトーンの線香花火には、派手さはないが情緒がある。
これからも打ち上げることはない。
そいつはナショナルブランドや花火大会に任せたい。
※今日のヒトコト
【 本日ワインセミナー後、21時くらいから少し開けます 】
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