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木曜日、まだ雨が降る。水不足も困ったもんだが、極端すぎる雨に各地で被害。旧居留地の南側、国道・海岸通はマイナス海抜で、大雨にはマンホールから水が溢れかえる。それほどまでには至らなかったが、多くの水溜まりがあった。
その天候のように、幾つかの案件が停滞気味である。それも天候と同じく、カラッと晴れ上がるその日まで、ジメジメとする頭の中は仕方がないと開き直っている。占いの類は興味がないのだが、携帯に誕生日を登録しているお陰で、i-modeのニュースと共に「本日の占い」が並んでる。確かにラッキーを表す星の数が多いとナンてことないのだが、極端に少ないと、朝の占いと同じくサッと画面を変えてしまうのは心情というものである。
今日のラッキーアイテムが「野球」とあったので、僕にそんな縁があるのかと考えてみれば、知人やお客様に野球選手がいることくらいしか思い浮かばない。小学校の頃は、巨人の星の影響で帽子はジャイアンツだった。なぜか本物にはない黄色だった。途中ラグビーを始めたから帽子は被らなくなったが、中学くらいには父親が阪神ファンだと発覚。しかしその後好きだったのは、遠井吾郎とラインバックと竹ノ内という、シブイところだった。つまりあまり知らなかった。
一日が大雨で過ぎてゆく。お客様もいなくなった。僕にとって「野球」などというものは、その日を左右するものでもないし左右されたくもない。どうせこんな雨では草野球すらできないじゃないかと、店のお客様に借りているDVD-BOX「ピンクパンサー」を観ていた。ピーターセラーズはホント笑える。
電話があって深夜に来た野球選手は、怪我の関係でまだ5日しか登板はないが、もう3勝してしまった投手だ。ちょっと赤塚不二夫系の顔ではある。人なつっこい性格と、頭の回転の速い会話にいつも楽しい時間を過ごす。そうかっ！彼が今日のラッキーアイテムの持ち主なのか！！そうでなくても嬉しい訪問に輪を掛けて、僕は微かな期待と共に、占いに当てはめるただの人となっていた。
「なぁなぁ、○○くん 実は今日の占いのラッキーアイテムがさぁ……」
「野球」だと話したら、彼は笑った。「偶然にしてもなんか嬉しいですよね」どういう御利益があるにしろ、彼は自分の職業が占いに出て、それを嬉しそうに話す店主がいることを純粋に、一緒になって喜んでくれたのだ。相手がプロスポーツ選手であろうと、どんな職種であろうと、やはり背景ではなく人間性に惹かれるものである。共有できる喜びに、自然と酒もすすむというものだ。
「ほら、書いてあるやろ！ラッキーアイテム」
僕は手に入れたカブトムシを見せる子供のように、
FOMAの小さな画面をしっかりと握って見せた。
「………『野菜』って書いてありますよ」
※今日のヒトコト
【 老眼にもほどがある 】
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