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本日ネタ無し。サッカー・アルビレックス新潟への5月3日試合に向けて、原稿を書いている途中だということもあり、過日に書いたアルビサポーター配布紙の内容を以下に。知り合いがいるチーム、機会があれば彼等を応援して欲しい。
たくさんの選手の方々がいるチームの、人を限定して書くことをお許し願いたい。
鈴木慎吾に初めて会ったのは平成15年12月。ルミナリエ（神戸の冬のイベント）真っ只中の寒い夜、共通の知人を介して紹介された。なんでも世話になっているとかで、知人の子供が所属するサッカーチームに顔を見せる、ただそれだけのために彼は神戸にやってきていた。
プロサッカー選手？無知な僕には、僕より小さくてまだあどけない表情の彼が、失礼ながらそんな職業だとは信じられず、でも熱い、頭のいい子だなという印象を持った。
そこでこんな話を聞いた。彼は高校を出てJリーガーになり、まだ世間を知らずに天狗になった。井の中の蛙を知らされ、選手として解雇される。そして会社勤めを始めた。数年後、最初に声を掛けてくれたチーム、それが新潟だった。京都パープルサンガへのレンタル移籍期間を終えて、オファーのあった関東のチーム、そして活躍で優勝に導いた、残留を願う京都を振り切ってやはり彼は新潟に戻る。それは彼なりの礼儀だった。彼はそういう男らしい。
僕が夢と現実を倒錯した「いつかは文章を書き、出版を」の声に、来るメールやハガキにはいつも「本はいつ出るんですか？」と子供のように同じ事を言ってくる。あの年の瀬、少年のような笑顔で話していた、彼特有の優しさは今も変わらない。
海本慶治の第一印象は「猿」だ。初めて会ったのは震災の翌年、平成11年夏のことである。よく日焼けした、よくしゃべる猿だと思った。
大阪出身の彼は、街の復興と重ねてJに上がったチームの選手として活躍したそうだが、やはり僕の接する海ちゃんは、「負けて笑うのはプロじゃない」「サポーターは有り難い」が口癖の、サッカー選手というよりは、「謙虚」という言葉が当てはまる、心優しき一人の男だった。
彼らしいエピソードを一つ。新潟に住む知人に聞き、僕は酒の勢いで失礼なお願いをしたことがある。「亀田製菓のサラダホープって新潟にしか売ってないんやろ？スポンサーに言って一年分送ってくれよ」冗談にしても酷い注文だ。海ちゃんはいつものように笑いながら「ええよ」とだけ言って、数日後、本当に段ボールで送ってくれた。
しかし、その箱を見ると「ダイエー新潟店」と書いてある。海ちゃんに電話をすると、ナンと彼はわざわざダイエーまで行ってサラダホープを探し（見たことがなかったから、探すのに苦労したらしい）自分で宅急便の手配をしてくれた。そんなJリーガーはがいるか？そんな猿は、海本慶治だけである。
今年、3月に入って間もないある夜、メールが届いた。今シーズンは特に気合いがの入っているらしいヤツが「サポーター凄いねん！ホームは特に！一回来る価値あるでぇ、ホンマに。おっちゃんに負けんように、チーム最年長やりまっせ！！」と送ってきた。こんなの初めてである。新潟に行きたくなった。
神戸のスポーツチームや飲料メーカーのデザインを担当していたりする僕は、これだけ恵まれた環境にある神戸の土壌に、実はジレンマを感じている。娯楽が多く観光都市を謳うことの代償は、街に息づく人々の無関心を生む。純粋なる新潟サポーターは、選手の刺激になっている。「共に戦う」感じの似合う街が羨ましい。
海ちゃんも慎吾同様、同じスタンスだ。
変わったことと言えば、家族が増えたことと、もう猿だとは言えないくらい、サポーターの想いを身体に受けとめていることであろう。
二人の共通項は「その業界らしくない」ところである。だから余計に、秘めたるパワーの爆発が際立って見える。サッカーもはもちろん、サッカーとは違う場所でも頼りになる、数少ない「人」だと思う。
だからそんな二人の足跡を見続けたい。できればずっと、現役の姿を。
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