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※今日のヒトコト
【志賀ディレクション担当カフェ Pleasure Pleasure 本日金曜 西元町にオープン！ （中央区元町通3-14-5 TEL078-393-1733）】
泣いたその日、いや次の日にでも、流れた涙の筋を感じることができるものである。それは滅多に涙を見せない人間ほどに顕著に現れる感覚で、それはそこまでの色々な想いを重ねる場合に多いものらしい。
以下は、その場所で午後に書いた日記である。
今、僕は11日オープンを控えたカフェ「Pleasure Pleasure」のロフトの席にいる。10日木曜15時より、お披露目レセプションが始まって、1階席には人が徐々に増えてきた。ここにはまだ誰もいない。
いつも訪れる感覚がある。僕にデザインの依頼があって、それに取り組み没頭し、クライアントやそこに関わる人々と協議を繰り返し、一つのカタチを見る。砂に書いたイメージが現実となって、ソレはたまらなく愛おしいものになる。そして旅立ち。クライアントの喜ぶ姿、ソレを見た人の表情を目に焼き付ける。
「愛おしい」と書いたが、そういったものが自分の手を一旦離れると、情けないことに涙が溢れてくる。寂しさと言うよりは嬉しさの方が勝つのだけれど、しっかり持っていた手綱がスルッと抜けてゆくように、一気に張りつめていた気持ちの弛緩が押し寄せてくるのだ。もう何度もそういう機会を味わっているはずなのに、やはりソレに関わる人々の顔を、その旅立ちの日に見ると泣けてくる。
例えば僕が今以上にもっと仕事が増えて、今以上に「名前で仕事が来る」ようになった時、何かがガシャン音を立ててと僕というモノが崩れてしまったら、僕は一粒の涙さえも流さなくなるのが怖い。その瞬間は、ずっと流し続けたい。
だから思うのだ。創るということは、ソコから始まると思うのだ。ただ泣いてサヨナラして、もう二度と会わないと思って作品を手掛けるのなら、僕は僕ではなく、優越感に浸り職人のフリをしただけの、「ただの男」に成り下がってしまう。
ここには二人の男がいた。
店主・勝浦氏と、設計施工管理を担当した若松氏。10歳代から知ってる30歳を迎えるやんちゃだった店主と、僕より15歳も若い、まだ世間を知らなさそうなデザイナー。そして僕41歳が、数ヶ月の同じ時間を過ごしてきた。そこには葛藤があって、想いの交錯もありながら、その先にピカピカの完成品ができた。この日、彼らはそれぞれで泣いていた。彼らが立派な「男」に見えた。ここから始まる涙だと、解って流していた涙だからだ……。
勝浦氏のお父さんはジャズベーシスト、お母さんはヴォーカリスト。
普段はここでは行われないライブが始まった。
この店はいい店になる。
僕の溢れ出る涙の数が、そう語っている。
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