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■ 中毒性日記 2005
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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彼女とは、夏の終わりに程近い夜に出会った。

「アナタは、懐かしい香りがするわ」

辺鄙な場所にある地図にないこの店。幾らか時間の経った後、彼女は少し懐かしい木の香りのするカウンターとは違う、店に漂う香りを表してそう言った。男は不思議に思う。バーマンというものは、香水をしない。ドリンクに匂いが移ることを避けるためもあるが、「その香りは、○○がつけてるよね」……そういうことで非日常の空間を現実に引き戻すことはしたくなかった。

おそらく男のタイプだった。それを証拠に、男はいつもより饒舌だったし、そしていつもより酒を飲んだ。「この女をナントカしよう」そう思うならペースは落とす。飲んだ、いや呑んだということは、その後のことよりも「今」をナントカしようと思う行為だ。ほとんどの人が彼女を美人の部類に入れることを厭わない、痩身で品のある目の前の女性である。今、この時間を共有したかった。

「その香りはどこかで嗅いだことがある」

彼女はそう言うと、大きめのライムを浮かべた10オンスグラスを斜めに傾け、あたかもスクリーンに映る風景のように、グラスに見える気泡を眺めていた。その泡の一つ一つに異性との想い出を見ているのか、彼女は時に微かに笑い、時にグラスより向こうの世界を見射るような目をし、そして何かを思いだしたかのようにその目を更に大きくする。ただ綺麗なだけの女性は、一生を演じ続ける俳優のようなもので興味がない。カウンター越しに見る彼女は、表情豊かなオフステージにいる。

香りは、時代や人を映し出す。彼女の言う「懐かしい香り」が異性のものならば、男はジェラシーを感じずにはいられない。どうやら、男は瞬時に恋をしている。

「わかったわ……アナタのその香り」

時はもう翌日に差し掛かる頃、何杯かのカクテルに身を任せた彼女は、少し酔った足取りで席を立つ。出口の扉が開き、もう既に夏のそれではない心地よい風が、冷たいほどに頬を撫でる。振り返りながら彼女は、ジグソーパズルの最後の一欠片を手繰り寄せそこに収めた時の、子供のような笑顔になった。


「アナタ、ベビーパウダーつけてるでしょ」


恋の予感は、母性をくすぐっただけに終わる。

う〜ん、Johnson&Johnson。ナンだ、この小説。


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