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■ 中毒性日記 2005
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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水曜日、眠い目をこすりながらラグビーチームの定例ミーティングに行く。12時は過ぎていたが、異様な生活リズムの僕としては、結構ツライのだ。たまたま出席しなかった監督のお陰で、僕が「ピリッ」と全体を締めるべく、ホワイトボードまでも使ってしゃべりまくる。教育実習を思い出したな。

店はなぜか落ち着かずバタバタとしていたが、とてもいい日だったと言える。

>>> 緑色のヤクザ が、頼んでいた周年用のminiDV、ビデオメッセージを持って来る。反則技に近い始まりで、僕はもう笑ってた。彼を知る切っ掛けとなったブースカ大森氏が、ひでやクンを従えて偶然やって来た。もちろんカウンター席の並びに座り、熱い会話がスタートする。ひでやクンは元プロ野球選手の甥っ子で、理学療法士を目指していた。しかし神戸に来て数年してから、突然志半ばに北海道に帰る。それが一年前のことだった。

最後の挨拶も無しに帰った彼を、若者特有の「あきらめの早い」子なんだと思うように努めた。色々話した彼との想い出が、やり切れないモノになるのが寂しかったからだ。そして一年、彼は戻ってきた。その夢をもう一度叶えるために。

そうしていると、ブースカさんが来ているのを知っているかのように、来る周年を盛り上げてくれている卯目くんが来た。「扉を開けたとき、声で分かりましたよ」そういう卯目くんに、ブースカさんも「イエス、卯目!!」とまたカウンター席を促す。

ほどなく扉がまた開いて、一人の男が入ってきた。3年ほど前に結婚し、京都に行った寺谷くんだった。姫路での仕事の後、3年ぶりにココに来たのだ。相変わらず日焼け顔に、魚類系の顔立ち。もうトライアスロンはやってないそうだがフルマラソンには出ている、変わらずアクティブな男である。これには僕もそうだが、卯目くんも驚いていた。

ホームページのコンセプトや想いをブレストした最初のメンバーが、卯目くんであり寺谷くんだった。近頃はしょっちゅうこの店に来るわけではない卯目くんが、3年ぶりに来た寺谷くんとこの場所で再会する。僕も嬉しくなって一緒に飲んだ。彼が頼む酒も、僕は覚えてた。そういうモノは、会う頻度じゃない。

北海道から戻って来た、ひでやクンが先に帰る。そして京都までの電車があるうちに、寺谷くんも帰った。暫くいた卯目くんも「いい日だったね」と言い残し、店をあとにした。残った緑色のヤクザとブースカさんは、また熱く語っていた。夜のとばりはもうとっくに過ぎた頃、心優しき緑色の男は家路に就いた。

ブースカさんと、偶然が重なったこの日のことを想いながら話す。店は続けるほどに類は友を呼ぶモノだ。その類は、偶然を当たり前のように引き起こすようになる。午前1時過ぎ、これまた周年についてはほとんど執念は無い、ラグビーチームの監督が顔を出す。「今日は、すみませんでした先輩」昼のミーティングをのっぴきならない理由で(死語だが、彼がこう言った)出席しなかったことを謝りに来たのだ。いつか僕のことを「曇り無き眼(まなこ)」と称した彼の目も、僕にはそのように映る。その気持ちが嬉しい。

何度か面識はあっても、ブースカさんとこの男が顔を付き合わせて話す初めての機会だった。僕も交じり話し込む。いつも言う「みんなに発言の機会がまんべんなくある」この席は楽しい。そして監督が帰り、「今日は、よかった!」とブースカさんも、丸みの帯びた身体を包み込んだ温かさ一杯に帰ってゆく。いい人といい話が出来たときに見られる背中であった。

そして彼らとは反対側のカウンターに残った、北野坂で店を営む和食料理人が「志賀さん、実は……」と話し出した。

「今月一杯で店を閉めるんです」と言った彼に僕は驚きを隠せない。「志賀さんに言われた『継続』の言葉を胸に、いつも店に立ってます」と彼は言っていたのに……しかし、すぐにそれが諦めたわけではなく、発展的であることを知る。彼は上海に行き、9月から「てんや」という同じ名前で店を出す。8月1日に神戸を立つそうである。「だから10周年には顔を出せないんです」とすまなさそうに言う彼に、「また、ココで待ってるから」と送り出した。

一度は諦めて、でも戻ってきた若者。新天地で心機一転、旅立とうとしている男。同じ日に様々な偶然がありながら、目の前で見た光景は全て、

「イエス、みんな!!」

という言葉で夜は更けていった。


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