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金曜日、昼のアポイントをキャンセルして、また明石までリハビリに行く。歯医者に行く子供よりも僕は先生に症状を伝えることができるはずなのだが、どうやら今までの伝え方は根本的に違ってたようである。理学療法士のヒヤリングにより、頸椎の何番目かの詰まりよりも、今日左入突菌(変換されない・ホントは胸鎖乳突筋 耳の後ろから鎖骨に掛けての屈曲、側屈や回旋といった動作に関係する)が原因だったようである。「多分こんな症状だ」と思い込んでいた。自分のことを外から見ることは難しいもんだ。お陰で楽になった。
その明石から夕方、兵庫県立美術館に行く。11日から始まるユネスコ本部主催・株式会社フェリシモによる 「DESIGN 21」 のレセプションである。安藤忠雄さん建築の美術館は、相変わらず導線が解りにくいが、それで安藤さんと解るところには納得である。デザインの要は、「解りやすい」方が好きだ。
その会場にある作品は世界的に有名なデザイナー招待作品(54点)や、11カ国の若手デザイナー作品(30点)、会場全体がそのメッセージを体感するインスタレーションとなっている。実際の所、解りやすいデザインとそうでないデザインがあった。グランプリに選ばれたものを、諸手をグリコのように挙げて「素晴らしい!一粒で二度美味しい」とは思えなかった。
テーマが「LOVE/WHY?」で、エコロジカル・環境に優しいモノも多かったから、おおよそ縁遠い風貌の僕にはヒットしなかったのかも知れない。出された食事は、無添加か有機栽培らしき野菜のみ。色んな「ディップ」で食すというものであった。1ヶ月分と思しき野菜を食べられたのは良かった。(あまりに前に出て挨拶する人が多いので、失礼ながら話を聞きながら黙々と食べていた)
先述の通り「解りやすい」デザインが好きだ。僕の残すディレクションも、そうであることを主に考えている。僕のすることが環境に優しいか、愛があるのかは分からない。しかしおそらく、この会場に並べられるものは少ないと思う。卑下しているのではないが、どうにも専門家にしか解らないポイントよりも、ソレを知らない人に働きかけ理解を得る方が性にあっている。
環境・ヒーリング音楽とポップスの違いくらいに、僕はポピュラーを選び提案する。それはちょっとした勇気(「そんなん俺でも考えられるわ」「見たような」というシンプルさ)であるが、万人受けを狙うのではなく、いつからか諦めの如く「解るヤツだけ解ればいい」というスタンスが嫌いなだけだ。
その夜、ラグビー日本代表の取材で神戸に来ていた同期・ラグビージャーナリスト村上が店に一人、僕と飲んでいた。たまたま居合わせた編集者ブルマンと隣り合わせにした。ラグビーにそれほど詳しくない人に耳を傾ける村上も良かったし、彼に自分の想いを伝えていたブルマンも嬉しかった。
解りにくいけど文化的貢献度なデザインと、見たまま解りやすいデザインと比べたときに、ユニヴァーサルデザインに近いのは後者だ。それは「他の世界に耳を傾ける」デザインだとも言える。
少なくとも僕のフィールドは、そっちでありたい。しかし、そのどちらもがあるから世界が成り立つことも、事実であるから面白い。
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