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■ 中毒性日記 2004
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
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※志賀速報!【年内は 大晦日まで、休まずやるんですって】

「もう、どうにでもしてくれ……」

最後の来訪者が出ていった午前2時前。敏哉はそう言うと倒れ込むように、店の奥のソファに崩れ落ちた。JBLの乾いた音楽はただの音となり耳を、そして髪を撫でる。敏哉は、これが来れば「もうすぐ眠りに就くな……」というタイミングをなんとなく知っている。しかしこの日はその瞬間を確認することもなく、敏哉は店の中で朝を迎えることになった。

多分、疲れが溜まっていた。一週間ほど、受験生のように徹夜を繰り返し、少しばかり神経を遣うプレゼンテーションを何件もやった。営業をしないが提案はする。毎日が違うクライアントや同業者(自分でも何者なのか分かっていないが)だから、それは思考を切り替えなければならないのだけれど、幸いにも敏哉は「店」を知っていた。日々、やってくる様々な来訪者に対し接遇を繰り返す。好きだからできるのは最低ラインで、違う人を見る(観る)ことと覚える(話す)ことで、自分の平静と同一性を確認し、人の繋がりを創ってきた。

しかしそれにしても動きすぎていた。そしてそれほど若くもない。

水曜日、敏哉は新しく展開?するゴルフウェアの打ち合わせを行っていた。慣れないデザインではあったが、呼びつけたアパレルデザイナーのお陰で3点の仕様書ができ、次はサンプルへと実現に近付いている。自分がどこに向かっているのかはサッパリ解らないのに、敏哉は他人の方向性をディレクションすることには長けていた。おおよそ6時間、自らモデルの小さなファッションショーを終え、達成感の狭間に見え隠れする睡魔を抱えながら、夜の街へと向かった。

店は、どうやら忘年会か早いクリスマスの流れか人が多かった。少しばかり敏哉の頭の中にあるオペレーションシステムが狂っていた。来るはずのお客様との連絡の不徹底や、団体の席を確保できずに四苦八苦していた。そんなときには普段は応じない「タバコの使い走り」をなぜか受けてしまったり、氷への集中力にも欠けていた。遅がけには断ることになったお客様もいたが、今はただ眠りに就きたかった。店のソファに母性を感じ、子供のように転がり落ちた。

「男っていつまでも子供ね」

それを男の特権のように女は言うが、その言葉こそが女性の特権行使である。なぜならば、女性はそうやって言葉を放つごとに、自己の大人を確認するからである。男は「そんな部分」を持ち続けられるかどうかだけで生きているようなもので、お客様には悪いが、遊び疲れた子供のように眠ることがずっと敏哉の潜む願望なのであった。それを許容する(譲歩する?)人々に支えられていることも、敏哉を子供にさせるに容易い、JBLの乾いた音のような存在になっている。

それにしても、敏哉は思った。

普段、もうちょっと眠れよと。


※『敏哉』って、僕のことね。


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