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■ 中毒性日記 2004
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
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※志賀速報!【本日、日曜日 店を開けることにします(11日休)】

台風が肩透かしに過ぎていった土曜日の神戸である。

以前、お子さんを連れてきたお客様がいたことは書いた。子が成人とすれば、お父さんであるお客様は僕より大体10歳くらい上。そういったお客様が増えることで、少し僕自身が大人になった感じがしたものだ。しかしその感情をもっと大きく抱いたのは、いつも来るお客様がご両親を連れてきた日である。

入社3年目、東京の証券会社から神戸支店に配属された慶応大出身の彼は、なかなか面白い男である。やたらと酒に詳しいし、最初はその辺にいる「上辺の蘊蓄好き」若者だと思っていた。おおよそ村上春樹か龍、開高健辺りで覚えた酒場の知識を盾に話してくるのだろう。僕と交わるはずのない会話に「若い人はよくそういうことを言うね」と、閉口しながら苦笑いする僕が現れるのは時間の問題だった。なぜなら僕は、その作者達の本をほとんど読んだことがないからに他ならない。それぞれ1〜2冊くらいやからね。語れません。

でも去年の夏、その初対面の時。彼は「現場に立たないと解らないこと」をサラサラ話し出した。先日店に来ていた、スポーツメーカーのユニフォーム・ウェア担当のAちゃんにも話していたのだが、『知識は覚えること、知恵は自分の言葉』だ。いつか書いた、インディアンのある種族の『知識は過去のもの、知恵は未来からやって来る』という言葉にも共通する、知恵のない会話は聞いていても面白くない。彼は学生時代バーでアルバイトをした。しかもそれは老舗のバーだ。そこにいないと解らないこと、彼は幾つかの話を聞かせてくれた。

勿論全てが許容できる話ではなかったが、そうなると年齢差を飛び越えて、僕らは共通項をそこに見いだして話し込んだ。そしてそれから幾度か時を経て、どうやら彼は僕の店が好きになったらしい。

その彼がご両親を東京から神戸に招待した。食事を北野坂で済ませて「志賀」にやってきたのだ。少々おかしな感じはするが、僕は年に数回ある家族来店のタイミングは嫌いではない。むしろ、どこかのオネイチャンと来るオジサンの方が辛いことが多い。2回目なのに「なぁ、志賀チャン」と馴れ馴れしく言ってくるオヤジには「まだ2回目ですよねぇ、オジチャン」と返してしまう。

彼のご両親は「いつもいつも、ウチの愚息がお世話になりまして」と、さっきまで家族で食事をしていた店の料理を差し入れてくれた。それがお父様の手からではなく、お母様からであったことが余計に僕を嬉しくさせた。もちろんまだ温もりを感じる包みではあったがそれを抜きにしても、僕の心は温かかった。

きっと彼は実家に帰っても僕のこと、僕の店のことをご両親に色々言ってるんだろうと思う。神戸でこんな店がある、こんな人がいる、と。家族で酒を酌み交わす姿を眺め微笑む僕は、少し歳を取ったなと感じた。そして、こうも思う。

こんな歳の取り方ならば、そんなに悪いことでもないなと。


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