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歯を磨いてすぐのコーヒーの一口目って、何かの味がするとずっと思ってた。こりゃウコンの味だ。あんまり嬉しくないけど。
と、コーヒーを飲みながら火曜日18時、台風渦中に店に行くか、このまま様子を見るか考えていた。どうも近頃体調が良くないので昨日の日記は休み、火曜日は予定を入れずに寝込んでた。お陰で、早くから街に出なかったのがこの躊躇を生んでいる。近畿地方はどうやら、これからピークらしい。
バルコニーのサッシに突風はブチ当たり音を立て、時折マンション建物自体が微かに揺れているのが分かるのが、過日の地震を思い出させる。空港は当然だがJRすら動いてない神戸で、僕はこの台風をやり過ごすべきか、それともこの期に及んでも酒を欲する人々の避難場所を設けるべきかに迷っている。
「そうよ、みんなアナタの店をもう一つの家のように思っているのよ、開けて差し上げなさい もうドアの前に人が待っているかも知れないわ」
なぜか女性口調の天使はそうやって、微笑みながら手招きをする。
「グハハハハァ〜、休んでしまえぇ〜 どうせ一日くらい休んだところで、お前が家で女の子とイチャイチャしてようが、札束を数えていようが、フカヒレを丸飲みしてようが誰も分からないことだぜ グハハハハァ〜」
なんだコイツは。とんでもないことを言いやがる悪魔だ。
結局、家にいる方が怖い感じがしたので、山に近い道路から行った。旧居留地辺りの2号線で、車のドアくらいまで冠水している映像を見たからだ。僕の住むジェームス山の信号機が消えている。塩屋北町のコンビニも真っ暗だ。長田神社の鳥居前で信号待ちしていると、電線から火花が出て看板の灯りが消えた。パニックものの映画みたいだが、救いは雨が降っていないことだ。三宮に辿り着いたが、街は機能していない。「台風のため休業」の貼り紙が多かった。
そして、水曜深夜0時。
僕はどうやら、この日、玉撞きをしに三宮に来たようである。
冗談じゃないわよ!!帰るわよ、我が家へ。
と、天使が囁いたので帰ることにした。
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