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■ 中毒性日記 2003
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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また少し日中は暑く感じるが、車が過剰な熱を持たなくなったせいで操舵は快適である。髪を切りに行くまでに少し時間があったので、最近須磨に出来たオートトレーディング神戸支店に行ってみる。以前はヤナセがあった場所が赤い看板サインに変わって、一際異彩を放っている。

このディーラーはその扱い車種も変わっている。バーキンS3、BMWM3カブリオ、ルノースポルトクリオ、なぜかポルシェ911カレラクーペ、そして僕の愛すべきTVRの正規輸入代理店にもなった。さしずめショーウインドー越しの素敵なオートクチュールといったところか。はたまたいつかは手に入れたいトゥールビヨンの腕時計のように惹きつけられた展示車、ブルーメタリックのTVRタスカン(西部警察で事故した車だ)と新しいラインナップのT350cが国道側ガラス越しに僕を迎え入れてくれた。ドキドキした。こりゃ久々のコンパのようである。

タスカンの内装は想像するに容易い。知人のそのシートにカラダをすっぽり埋めて、近未来型のTVRの挑戦を目の当たりにしたことがある。こういう車があってもイイと思った。車メーカーの風潮に迎合しない、ひとたび動き出せば街の視線を全面に受ける個性的なフォルムも備える。時代の寵児には異端児が多いという歴史が物語っているではないか。TVRタスカンは間違いなく絶対個性である。

そこまではいい。その隣の最新型T350cに座らせてもらう。モノトーン・モノコック。小さなウインドー、ヘッドレストにスペースはほとんどない潔い2シーター、簡略化されたレーシーなコクピット、冷たさすら感じるアルミの削り出しを多用するマスキュラインデザイン。エッジの利いた、おそらく今は生産されていないスパルタン・スタイルの「グリフィス」の後継なのだろう。内装デザインとしては嫌いではない。むしろ自宅のオーディオや、洋服・身の回りにはこの手のシンプルさが多いと思う。しかしこれは、僕がいつか書いた英国ならではの「クラフトマンシップ」職人気質からは遠い。

先日メルセデスの新しいSLを見せてもらう機会があったが、同じような印象を持った。確かに車は便利になった。電子制御は、事故をすれば自動的に保険会社や警察、消防に電話してくれる。急ブレーキにも自動的にポンピングするし、シートの形状もコクピットのみならずパッセンジャーまでをも覚えてくれる。一番直近に開けたウインドウの位置を記憶するという、なんだか解らない機能までもある。最新鋭技術は時代と共に何でもかんでも安心を声高に主張するが、人の力を使わないで勝手に動く様は、駄菓子を食べなくなった子供のようだ。免疫が無い分、車任せである。僕のTVRが、アナログな内装でよかったと思う。

その後三宮へ。店に入る前に、当時には珍しい白色をした88年式ジャグゥワーXJ-6を見せてもらった。三宮まで乗ってきたラグビー選手は親父さんの形見のソレを大切に、涙を流しながら工場から運転してきたという。 動きそうになかったジャグゥワー、時間をゆっくり掛けてオーバーホールした。革張りのシートも、ウォールナットのインパネも、人に優しいスイッチ類も、自分が今何を見て何を感じているのかに答えるかの如く光り輝いていた。「安心」とは本来こういうものを言うのだろう。「上質」とはこんな時に使う言葉なのだろう。

昨今の車には「男の隠れ家」という表現が似合わない。車に乗られるようでは、自分探しも出来ない。ナビゲーション・GPSで自分の位置が解ろうが渋滞を回避出来ようが、宛所のない旅をしなくなった大人に魅力など無い。

人も車も、息吹を感じるのが粋だと思ってる。


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