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雨が降った夜、13日はお盆のせいか静かな神戸であった。それにしても短い夏、冷夏である。多分今年の夏に産まれた女の子は、レイカの名付けブームに乗る。もし猛暑だったら、えらいことだ。「志賀モウショ」だぞ。男のみだが。
テレビ朝日系列「西部警察」の放送中止が決まった。車の事故が原因だ。映像をご覧になった方は解る話だが、かなり無謀な撮影だった。走行リハーサルは無しに見物客3m前を、急発進・加速して通り抜ける本番シーン。お気づきの方もあったと思う。あの事故を起こした車はTVRの最新型。僕の車のメーカーである。たかだか56年ではあるが、スポーツカーメーカーとして頑なにバックヤードビルダーの歴史を刻んできた。その職人気質とオリジナリティが好きである。
TVRタスカンが初めてスクリーンに登場したのは、トラボルタ、ハル・ベリー主演「ソードフィッシュ」である。国際的ハッカー・トラボルタが操る車で、本当にカッコ良く描かれていた。近未来型のタスカンは今まで以上にギミックもふんだんに盛り込まれていて、知人も操作に四苦八苦していた。「乗る人を選ぶ」「気持ちを持って対峙しなければならない」車である。
元々どこかで書いたが、トラボルタまでは許せても「西部警察」には異論があった。タイアップスポンサーがオートトレーディングだから、名車が揃うのは分かる。しかし、どこの警察にあんなに目立つ車があるのだろう。ドラマだから仕方がないとは言え、僕も「西部警察の車」と言われるのは辛いと思ってた。事故の当人、怪我をされた方々、番組スタッフには申し訳ないが、メジャーにならなかったことに少しホッとしている。
あの映像に出てきた、先に発進した赤い方がTVRタモラ。コンパクトなライトスポーツカー、TVRに入りやすいグレードだ。しかし、タスカンはFRで4000cc、400馬力近い。トルクも50を越えるのに車重1tのFRPボディ、つまり異様に軽い。実際のタスカンに触れたことのある僕に言わせると、あの車はペットとして突然やって来た大きな虎のようである。手なずけるには時間が掛かる。初めの印象は、砂利道で急発進、もしくは急ブレーキを掛けた感覚だった。
レスポンスが際だっていい。つまり少しのハンドリングにも、アクセルワークもクラッチの繋ぎもブレーキも、異様な反応がある。日本の道路事情・公道を走ること自体危険なのである。HONDAのS2000の事故が多いと聞く。慣れないFRドライブに、戸惑ったせいだろう。レーシーなTVRを舐めてはイケナイ。メーカーに失礼だ。服だってブランドは本来、人を選ぶものなのだ。
僕はモノを選ぶときに、あまり誰も持たない・知らない、を基準として考えることが多い。TVRは大方の日本車のように「誰もが簡単に気軽に安全に」乗ることのできるモノではないが、その点で僕は好きになったんだと思う。例えば酒や葉巻は奥深く語らず、飲み・薫らせるものである。解った気になったその日から、また新しい扉が開く。あの車もそんな感じだ。偏屈じゃないと乗りこなせない。
つまり、僕という人間を理解しようということ自体難しい話だとも言える。
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