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■ 中毒性日記 2003
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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金曜の昼、写真家・敬文クンから「今はヒデとロスです 楽しくリラックスしています」とメールが来たとき僕は、斉元でお好み焼きとそば焼きを食べていた。それぞれのシチュエーションの違いに笑みがこぼれるが、世界を繋げるITに感謝しながら旨いお好み焼きを突っついていた。

夜中は夜中で深夜1時を過ぎた頃には店に張り紙をして、顔の大きなラグビー選手と食事に行くことにした。その段階で、実はもうこの日は店を続ける気持ちも薄れていた。「30が男の成人やと思う」なんて彼に意見を言った手前僕はとうに成人のはずなのだが、子供みたいに自分本位に定時より早く店を閉める気になった。こんな日は、気が置けない仲間と外で話すに限る。

金曜日にしては静かに店の時間は進んだ。一人カウンターでウシュクベを飲む紳士。先週、かなり酔ったせいか忘れ物して、取りに来た男女。時間は21時過ぎ、僕の店ではまだほとんどのお客様がやって来る時間ではない。そんな頃、一本の電話が入る。 「前に○○さんと行ったことのある者なんですけど……」

たまにこんな電話はある。お客様といらっしゃって色々話をし、相も変わらず「店は家」という持論を語り、相手がどんな人なのか解った上で名刺を渡す。僕にとっては至極普通の行為が、時に横柄で、時に商売気がないと言われたりする。そこまで話し合った先には、隠れ家なんていう陳腐な表現よりも、「家」という認識が生まれてゆく。そうやって、この店の空気は保たれてきた。

電話の向こうのお客様は続けた。「15人ほど入れますか?」

「僕の店がどんな店かご存じですよね 15人が同じ場所に座る席はないのです そして僕もお客様をお待たせしたくない、バタバタと働きたくないのです」

別々の席でもいいからなんとかならないかとお客様は言う。でもその中に○○さんはいないし、まだよく知らない人・初対面の人がたくさんいる店は想像できない。まず僕をよく知るお客様がいて、僕を解ってくれる人がいて、やはり前もっての貸し切りでしか何ともしようがない。 何よりも、今ここにいる2組のお客様に対し、僕はどういう言い訳をするのだろう。

電話を切って数十分後、先方は来ない旨の電話をくれた。結局断ったカタチのこれを平等ではない、お客様を大切にしないと言われるのかも知れない。横柄に聞こえる「家」というコンセプトが、目の前の利益よりも、心の利益を選んでしまう。僕はこうして生きてきた。安心という空気を守るためにやってきた。○○さんには電話をして、事情を説明し謝るつもりでいる。

閉店時間の午前2時を前にして、早々にラグビー選手と洋食屋に着いた。必然に、一杯食べた。メンチカツ、クリームコロッケ、ガーリックパスタ、大きなサラダ、ライス2つずつ……。なぜ必然なのか。

そこには変わらぬ安心という味と、
いつものおじさんが、笑顔で立っていたからである。


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加納町 志賀とはどんなヤツ?
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