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■ 中毒性日記 2003
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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木曜朝の落雷と共に目覚めた、夜中のパスタ350gが胃に重い志賀である。

僕が普段店で気を付けていることに「相手を見ずに挨拶をしない」というのがある。帰るお客様に対し「ありがとうございました」と言う時にも、その人に対し伝えるのが当たり前の礼儀だと思う。しかし、今反省していることがある。

例えば車の助手席に載せた女の子を歩道に降ろし、ワンクラクション鳴らして去っていくその時。何気なく見たバックミラーに映るその子が、見えなくなるまでそこにいた、あぁなんてカワイイんだ……なんて経験は誰しもあろう。まぁそこまですることもないが、その気持ちは非常に嬉しかったりする。「じゃあね」と手を振り、去ってゆく彼女の背中を見ながら車を走らせるのもハードボイルドだが、そんな甘酸っぱい記憶のような光景は、40歳近くにもなるとちょっぴり憧憬の念さえ芽生えてしまっているこの頃である。

木曜日、一人のお客様が帰るときに他に誰もいなかったので玄関口までお見送りする。「ありがとうございました」そう言って、僕はお客様の後ろ姿に挨拶し店に戻った。昨日雨が降ったせいか、カウンターの中が濡れていたせいか、店で履いているNIKEの靴の底がペタペタ音を立てた。おそらくまだドアは閉まっていなかったから、その方に足音は聞こえたと思う。

もし自分がお客様だったら「あぁ帰ったな」と思って、すぐに仕事に戻る店員をどう思ったのだろう。考えすぎかも知れない。しかし僕の足音は聞こえたはずだし、さも早く片付けをしようとする店員のようで、そんなものは後回しでも良かったのにと後悔している。

ホント、そこまで考える必要がないんじゃないのと言われそうだが、そんなちょっとしたことが見えなくなってしまったら、僕はどんな思いでこの店を始めたのかすらも忘れてしまう気がするのだ。散々言っているではないか。ココは僕の家だ。家に招き入れたお客様が帰るとき、見送らない家主なんていない。

三歩進んで二歩下がる、ふと考えることを止めないでいたい。


※本日の志賀・ヒトゴトではないヒトリゴト
【毎日旨い物を食べていると、初めて美味しいと思った気持ちを忘れてしまう……ってな感覚も思い出している志賀である】

※シリーズ「こんな店はイラナイ!」その14
【食べてすぐに皿を下げようとする、事務的な店 明らかに皿には何もなくナイフフォークも揃えてあるのに、「お下げしてもよろしいでしょうか」と聞いてくる、マニュアルな店員のいる店】

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