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■ 中毒性日記 2003
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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夜には雨の降る土曜日の神戸である。店の通りにあるホテルの前でカップルが「どうする、入る?」状態でイチャイチャ・うろちょろしていた。いつもなら腹立たしくも羨ましい光景を、今日は微笑ましく見ることが出来た。

それと言うのも夕方、小学校に入ったばかりのみんみんとその妹ももっち(以下、みんもん、とSteelers苑田が名付けた)と、久しぶりに会ったからである。ラグビー日本代表合宿、苑田の土産をみんもんに届けるためだ。彼女たちのママと共に入ったカフェの客には男性はおらず、4名席に少しはにかんで隣に座りたがらないみんもん、仕方なくママは僕の横に座る。コレは見事に家族だ。顔にチョコを一杯付けながらアイスを頬張る彼女達に微笑みながら、「こいつら、欲しい!」と思ったもうすぐ39歳、加納町志賀でございました。

そして僕のこの日の穏やかな空気感は、久しぶりに大阪に住む大学同期が店に来てくれたお陰でもある。タイ式キックボクサーのような顔の「チャチャイ」というあだ名を持つ沢良木は、後輩の結婚式二次会の後、1人で訪ねて来てくれた。彼らの子供にとっては「パパは、なんでチャチャイなの?」ってことになりそうだが、あだ名というモノは、僕等にとっては一瞬で「あの日」を思い出させるものとなる。 そしてこんな思い出話をした。

体育大時代、ラグビー部の合宿は長野・車山高原であった。練習スケジュールに10分間走(10分間に、コートを何周できるかの持久走)があって、僕等バックローチーム(スクラムを組むFW第三列)、チャチャイ(沢良木)、ファラグチ(宮口)、そして僕(あだ名は無かった)は、いつも上位を競い合った。

ある日、午前練習中全く精彩を欠き、最後の10分間走には上位チームに彼の名前は無かった。確か朝の練習は6時から10時くらい、昼からは2時から6時くらいまでだったと思うが、その長いがあっと言う間の貴重な昼休み、チャチャイが相談があると言う。ウッディーハウスという、少し恥ずかしい、いかにもペンションなそこでお茶をする。付き合い始めた彼女と電話で喧嘩したと言う。もうアカンかもしれへん、と落ち込んでいる。僕等は「今日の夜、思い切って電話して見ろ!」と、無責任な、でも思いっ切り友情で彼の背中を後押しした。

翌日の朝、スッキリした顔でグランドに出てきたチャチャイは、午前中の10分間走で以後破られないであろう記録的な数字で、チーム全体の一番になった。身体のデカイFWが、シェイプされた足の速いBKをも凌いだのだ。容易に昨夜の電話の結果が、僕達二人にはあからさまに見えた。何て単純な奴なんだ!と思うと共に、僕等は何だか羨ましくなったことを覚えてる……。


お互いの3杯目のバーボンソーダが、カランッと音を立てて空いた。

「今日行った後輩の二次会、なんかええ出逢いなかったんかいな?」

僕は、妻子持ちの彼に下衆な質問をする。

「やっぱりアサちゃんがええで」

嫁の名を言いながらチャチャイは満面の笑みを浮かべ、大阪に帰って行った。


あれから18年、彼には3人の子供がいる。
あの日の快走を生み出した、張本人との間に。


※本日の志賀・ヒトゴトではないヒトリゴト
【昨日の日記の付記……
 『出前を頼んだ直後ほど、お客様が入ってくるモノである』】

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