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■ 中毒性日記 2003
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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ここは、神戸市内のとある場所。

大きな商店街の流れから、焼鳥屋の角を左に折れ、玉突き屋のネオンサインをたよりにしばらく歩を進めると、月の明かりに淡く浮かび上がったその場所が「ぽつん」とある。

その入口には、「志賀くん」と自らの名前に「くん」をつけている妙な表札に目をやりながら、ドアーのノブに手をかけるとほぼ同時に一人の人物が飛び出してきた。白い歯とはにかむような笑顔が印象に残る男で、その人物が、つまり、「志賀」くんだったのである。

心地よい闇につつまれた彼の「家」に身を鎮め、一日の終演の音(ね)を聞けば、潜んでいた懐かしいさまざまな記憶の断片が浮かび上がってくる。

欠けた机、欠けた花瓶、欠けた窓、欠けた扉、欠けた月、欠けた太陽、欠けた空、欠けた煙突、欠けたグラス、片方だけの靴に片方だけの足跡、片方だけの手袋、片方だけの双眼鏡、そして片言の日本語、画面のないテレビ、受話器のない電話、針のない時計、音のでないギター、脚のないテーブル、水のでない蛇口、咲かない花、把手のない扉、8年前の時報を知らせるラジオ、けんか別れした友人、もう横に座ることのない恋人、饒舌な哲学者、たどり着けない彼方にいる父や祖父、そして鏡に映った半分の「私」ら。

不連続な輪郭を持つその断片を一つ一つつむぎながら丁寧に拾い集めれば、一枚のジグソーパズルが完成する。「私」が存在する瞬間である。完成されたジグソーパズルは朝を迎える頃に風に吹かれ、バラバラになって記憶の断片に姿を変えることになるが、「私」にはほんの一瞬でも懐かしい時間と再会できる懐かしい場所である。

そこは、懐かしい場所にいたはずの「私」宛に、長い手紙をゆっくりと書いてみようと思える場所でもある。

(ブースカさん 47歳〔働き者の歯科医師〕 志賀歴「途中入社」)


※本日の志賀・ヒトゴトではないヒトリゴト
【ほんと店を越えて、イチ人間として世話になっている いつもストレートだし、陰口言わないし、裏表がない人 何よりも「僕と同じ目線」で尊重してくれている ペンネームは、風貌が宇宙怪獣ブースカに似ている所以 ちなみに表札に「志賀くん」は、この先生特有の冗句(ジョーク)である】

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