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■ 中毒性日記 2003
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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土曜日の朝7時前、けんもつ珈琲店のオリジナルブレンドを入れて、明るくなり始めた外を感じながら日記を書いている。さっき女の子とラグビー選手とで食べた、瑞麟の山東麺、排骨酢豚、炒飯、唐揚げがまだお腹を満たしてくれている。

金曜の夕方に、和多田の見舞いに行った。市原へのレンタル移籍から帰ってきた早々、練習で前十字靱帯を切ってしまったサッカー選手だ。スローイング47mの記録を持つ強靱な上半身の筋力を備えたFWとして、サッカー界の将来を嘱望された逸材である。その彼が先日手術をし、これから入院1ヶ月、リハビリに入っても今シーズンの出場は微妙なところであると診断された。

大病院というところにはあまり縁がない。通うこともなければ、お見舞いに行く機会も近頃はなかった。外から見るだけでは分からなかった入院病棟は新しく、バカでかい。やっとの思いでエレベーター、目的の階へ。エレベータフロアに出たと同時に、見覚えのある顔が声を掛けた。「志賀さん!」明るい声の主は右足を真っ直ぐ固定されて、車椅子に乗っていた。

「さっきカズさんが来てくれてましたよ」あまりに普通に話されて僕は、慰めの言葉も気の利いた科白も出せずにいた。「今から食堂へ夕食に行くところです」僕は車椅子に先導されて、食堂に入る。そのフロアがそうなのか、内臓疾患病棟のそれとは違う空気の中、その部位以外は健康体のアスリート風の男女がそれぞれ食事をとっている。僕はお茶をすすりながら、彼の食事に付き合った。そしてなぜか、僕の仕事の話、最近迷ってること、自分のそれらに対する思いを彼に聞いてもらっていた。彼の笑顔がそうさせたのか……。

車椅子で入るには少し狭い病室を、彼のまだ不器用な切り返しで案内される。部屋は個室で、テレビも冷蔵庫も綺麗な洗面台もトイレもある。持ち込んではイケナイTVゲームまでもあって不自由はなさそうだ。そして彼は、「それ」を手にして「早く治さないとね」と笑った。笑顔の意味が解った。

天井からぶら下がったそれは、千羽鶴である。その一部は、チームメイトの折ったものもあるようだが、そのほとんどがファンからのものらしい。Jリーガーであって、チームに所属していれば「個」を感じることは非常に少ない。スタンドからの声援も有り難いが、「それら」は明らかにスタンド「外」の応援である。「俺が入院しても多分10羽鶴くらいや……解ってると思うけど、君は凄いステージにいるんやで」そう言い残すと僕は、夜の店に向かった。

二日ほど前にこんなメールが届いた。これは、たまたま僕のマンションの隣に住んでいる、歌手・タレント佐川満男氏のファンの方が僕のサイトに行き着いて、メールをくださったものである。

『私は、元気な時からファンだったんですが、ある事情でパニック障害【不安症】になってしまい、今は佐川さんにとても助けてもらっています。精神的にダウンしていて、不安症のため熱が下がらない状態が半年続きました。そんな時、佐川さんのチャリティーコンサートが隣の市であると知り、熱があったんですけど、何せ佐川さんに会いたくて行きました。握手会の時に「過呼吸なったんか……今は熱は大丈夫か???う〜ん、ちょっと痩せたなあ……ゆっくりな、ゆっくりな……」と優しく声をかけていただきました。その瞬間、今までの辛いことなどが頭中をよぎり佐川さんの腕をつかんだまま、泣いてしまいました。佐川さんの優しさがとても嬉しくて……… 電車や高速道路や救急車のサイレンの音や大きな音など怖くて、外出さえもできなかった私ですが、佐川さんのおかげで、今では大分元気を取り戻せています』

和多田とファンの人々、メールをくださった方と佐川氏。
勇気と感動、大いなる期待と羨望・憧憬、そして見守られる幸せと安心、希望。
人に支えられて、人を支えてみんな生きている。

そして今、千羽鶴とそんなメールに感動している僕も支えられている。


※本日の志賀・ヒトゴトではないヒトコト
【苑田、平尾、わざわざありがとな! コバくん、賢太、「志賀さんはオカシイわ」って電話してくるな! 確かにオカシイけど……】

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