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■ 中毒性日記 2003
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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海外で仕事中の女の子から「『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』観ました?周りでもめっちゃ好評なんですよね。私も日本に帰ったら観に行くなり!」とメールが来たもんだから、なんとなくスイーティーでメロウな感じがしたので、これは女の子と行くべきだと新聞の映画劇場案内を見る…ない。携帯の映画ナビを使ってみる…やはりない。
映画に詳しいブレーン・卯目くんにメールを打つと答えが返ってきた。

スピルバーグ・ドリームワークスの新作、ディカプリオ、トムハンクス主演映画。コミカルでスピーディな映画のようである。早速英語サイトを探してみた。ディカプリオはパイロットの恰好をしている。思わず意味無くグリーティングカードをDLした。なかなかおもしろそうだが、日本では公開前のようである。

「『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』観ました?」と彼女が言うのも解る。有名人という人達は、プレミアと呼ばれる試写会か、海外で観てしまうことが多い。普通に並んで映画館に行くこともないだろうし、ビデオ屋にはまさか自分で行くまい。自販機で薄められたコーヒーを飲むこともないだろうし、「パンフレット一部!」と手に入れることもないはずだ。「日本ではまだやってへんで!」と送り返すと、「帰りの飛行機でやってるかなぁ」ときたもんだ。幸か不幸か僕は、その辺の場末のロードショーを待つことにする。

基本的に映画は、映画館で観る。近頃は先行オールナイトロードショーを探して、土曜の店終了後に行くことが多くなった。それほど人もいないしゆったりしているからである。ワインなども持ち込んでしまえる。ただ、館内の紙コップは味気ないし、かと言ってポップコーンを買ってその空の紙容器に注いでしまうと、知らぬ間に液体が無くなる怪奇現象を体験することになる。あれは底が薄いから、ジーンズが赤く染まってしまう。もちろん経験済みだ。
ゆえに、携帯ウイスキーボトルがお勧めだ。

映画が盛り上がり酔いも手伝って、どこかで観たニッケルオデオン、古き良きアメリカのイメージで、スクリーンへ共感の意味でポップコーンを投げつけるなど、以ての外である。「ダイハード」を初めて映画館で観たときに、僕は注意を受けた。当たり前である。ビデオやDVDの普及は、そうした抑制から解き放たれた自宅という「ナンでもあり」の空間に蔓延ったことで、映画館では静粛が当然の常識となっている。

学生時代、今はもう無い京都の京劇会館で観た「仁義なき戦い」5部作一挙放映を僕は、夜の8時から翌朝の5時まで観たことがある。いい場面になると客席から「文太!」「松方!」なんていう掛け声があった。歌舞伎にも似たその声は、スクリーンいっぱいに広がる役者への賛辞だった。

古くは楽市楽座、そして映画が民衆の娯楽と言われた根底には、そこでしか観られない夢の世界が存在していて、ビデオのような二次使用など思いも寄らないことだった。騒ぐのはマナー違反だ。しかし映画を純粋に楽しもうとした、怪獣の登場に一喜一憂したあの頃を忘れたくないし、大きなスクリーンをデートのコースの一つにしか思えないのは少し寂しい。

そんなわけで、ドライブインシアター復活を密かに願っている僕である。


※本日の志賀・ヒトゴトではないヒトコト
【2/10に書いた、爺ちゃんの発明品の音は「エリーゼのために」ではなく、『禁じられた遊び』だった かなりの思い違いだったが、ガラクタばかり集めてきて婆ちゃんに迷惑をかけ、一銭にもならない発明を続けた爺ちゃんだけに、その作品達は密かな「禁じられた遊び」だったのだろうか……】

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