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■ 中毒性日記 2003
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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僕は料理をしない。出来ないかも知れないし、実は上手いかも知れないが、トーストを焼くことと目玉焼きをつくること、パスタを茹でることで充分事足りている。やはり料理は作ってもらう方がいい。

しかしキッチンにはほとんどの調味料と器具、食器がある。岩塩も2種類あるし、一味・七味、山椒も2種類ある。デジタルの調理用秤と、茹でることにしか使ったことがない大きな寸胴鍋は、どう見ても僕が料理好きか、女の香りを漂わせているように映るらしい。金線の入ったリモージュ焼きのボーンチャイナ(陶器)の数々は「週末はいつもホームパーティをやってるの」的なほどに、ハイソで有閑マダムならず、有閑ムッシュである。

言い訳をすれば、僕はコレクターでも料理人でもなく、このほとんどは震災でつぶれた高級料理学校の払い下げなのである。僕の家も当然震災の被害を受け食器は全滅だったから、その学校のストックを分けてもらえると聞いたとき、喜んで頂戴した。しかし、手に入れたはいいが僕が「そういう風な」生活に身を置かず、ましてや料理を振る舞うことなどしないということに気付いたときから、ただの埃をかぶったオブジェと化してしまっている。

日曜や祝日には仲間を呼んで鍋をすることもあるので、何かと増えていったものもある。土鍋が二つ、すき焼き鍋が二つ、なぜかボールやザル類が腐るほどある。包丁など「通販で買ったけど使えない」なんて言って、知人がくれたものも含めれば10本を越えてしまう。これは何を切るのだ!?と、バラバラ殺人でもできそうな勢いの、肉切り包丁まである。日本の生活事情でも使えそうにない無用の長物が、僕の生活事情では更にもっと、無用の長助になった。

その「いかりや長介」の数々の中に、賞味期限が切れたものがたくさんあるので最近大半を処分した。調味料なんて3年くらい大丈夫なはずなのに、ほとんど駄目だし、干し椎茸や出汁昆布なんかも期限が切れている。鶏ガラスープの素は顆粒のはずなのに、瓶をひっくり返しても固まって、瓶ごと固形チキンブイヨンになっている。どれだけ僕が料理をしないかが解るだろう。

その「無用の長州力」の中に、期限がどこにも書いていない瓶があるので、これだけはまだ捨てられないでいる。その瓶にはこう書いてある。

「完熟の赤唐辛子と岩塩を気の樽で3年じっくりと熟成させ、蒸留酢と合わせて数週間 良質の素材とゆったりした時間が育んだ自然な辛さが生きています」

少なくともこいつは3年樽に入って、数週間寝て、ゆったり時間を過ごしたわけだが、このキッチンには震災前からゆったり過ごしすぎのようだ。その昔、アントニオ猪木が日本輸入元総代理店をやっていた頃のものなのかも知れない。

彼が「アントン」と呼ばれていた頃の、10何年物のタバスコである。


※本日のダジャレー男爵・伝言板
【雑誌「Pen」に、上海特集が組まれている 所謂セレブが出ているせいもあるが、デザインも感性も、日本は置いていかれている感じがする ちなみに携帯電話にはヨーロッパ色の強いデザインが多く、日本の家電メーカーの作る機能性重視の携帯も捨てがたいが、僕が相変わらず好きな「NOKIA」が、スルドイ人の御用達のようである 日本の携帯デザイン変わらんかね……俺にさせてみろ!】

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