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お客様が帰って掃除をする。「あんな暗い店で、よく掃除が出来るね」と言われたりするが、調光を全開にすれば、ちょっとした喫茶店でも出来そうなくらいの明るさになる。昼間のアイドルタイムに、誰かにカレー屋でもやらそうかという話も馬鹿話の一つにあったが、臭いが付くことと、僕がそれほどキレンジャーではないということでオジャン(死語)になった。(もちろん、本気ではない)
明るくなった店内でその日に、奥のソファーで熱い話があったかどうかが判るチェックポイントがある。マーブルの光沢のあるテーブルに付いた「指紋」の多さだ。テーブルを叩くほどの勢いで話が繰り広げられるわけだ。この日ここに座っていたラグビー選手にも、そこから想像される真剣な話があった。それは僕の心の中で、静かに蓋をすることにする。
早い時間に来ていた大学のラグビー部の先輩、小山氏のお子さん・洋平くんは少年ラグビーチームにいる。学校にではなく、所謂地域ラグビースクールのことだ。そもそも僕の思うラグビーのイメージとは「ひたむき」であったり「がむしゃら」であったりする。そんな意味合いで言うと、偏見かも知れないがサッカーや野球を子供達にさせようとする親の何パーセントかは「プロになって稼いでもらう」という不純な動機を持つ人もいるようであるから、それに比べればラグビーはその先に甘いものもほとんどないし、純粋で透明に近い。(子供の意志を尊重する前に、親がモー娘オーディションに応募するのはもっと不純で、赤ちゃんタレントにしようなんてことは、親そのものが不純物である)
さて、その洋平君はキャプテン(学年リーダーのこと)だそうで、ある転機が最近訪れた。一緒にラグビーをやってきた同級生がサッカーの方がいいと、チームを出て行ってしまったのだ。5年生の洋平君は「辞めた奴は、もういい!」と残ったメンバーに言いながらチームを引っ張った。その話を聞いた、お父さん・小山氏は洋平君にこう言った。
「なんで彼が辞めたと思う?なんでサッカーの方がいいと思ったんだろう?それはスポーツが何か、という問題じゃなくって、そのチームに魅力がなかったんじゃないか?おもしろい場所じゃなかったんじゃないのか?そんな場所になったら、また彼も、他の誰かも集まってくるんじゃないかな」
人間は現金なモノで、苦しくてもその達成感を経験したり、カッコ良かったり、単純におもしろかったり、その魅力ある仲間の中で「もっとそこにいたい」と思うものだ。僕も自分の場所を、居心地がいいと思ってくれる、幸せの価値観や共通のコンセンサスを持つ人と共に過ごしたい。
次の練習日の日曜、洋平君はみんなの前で言った。
「このチームをおもしろくしようよ ラグビー楽しもう!」
小学5年生の絞り出したシンプルな言葉は、何かに気付いたようで説得力がある。改めて僕も、昼も夜も寝不足だって時間がタイトだって、楽しもうと思った。
僕が楽しくないと、周りの人もそうじゃないと解っているから。
※本日のダジャレー男爵・伝言板
【昨日のテレビの話で思い出した チャンネルがついているということは回すときに「音」が出る、ということだ 高校時代に皆が寝静まったあとにイヤホンを左耳に、右手はチャンネルを握りしめ、H系番組(11PM・ウィークエンダー・大人の60分など)を観るという今では考えられない恥ずかしい経験もあった 僕の家はマンションで、近くに寝室があってそりゃぁもう音を立てないように苦労した ある日の深夜、起きてきた母親に見つかりそうになって、咄嗟に回したチャンネルが今は懐かしい「砂の嵐(番組が終わっていて画面がザァーッとなってる様子 ジャパネットや、外人通販などなかった)」状態で「アンタ、何観てんの?」とイヤホンをしたままの僕に、母はキツイ質問を投げかけたものだった (今の僕なら「宇宙と交信中や 嵐の奥に、僕には見えるねん」と答える)】
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