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■ 中毒性日記 2003
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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午前5時半、日曜の店の片づけが終わってから米を洗う。なんでも餅米は、一昼夜ヒタヒタの水に漬けておかなければならず、いろんな方からの助言により僕にしてはかなり違和感のある「仕込み」という名の地味な作業を一人、誰もいなくなった店で黙々と、今までに経験したことのない量の餅米を洗っていた。

積み上げられたビールケースやそれでは足りない量の空き瓶が紙袋やバケツに入っている様が、さっきまでのとんでもない状況を思い出させるが、それはそれほど心地が悪いモノではない。冷蔵庫の中も、ストックの収納にもほとんどの酒が無くなって、今は清々しい気分さえする。こうして、PCのキーボードをたたいていると、キータッチの浅い新しいパーソナルコンピューターは、静かにそして的確にレスポンスしてくれる。もう午前7時になった店である。

神戸製鋼は負けた。しかし予想に反し彼らは店にやってきて、驚くほどの酒を飲み干し、台風の如く去っていった。店での光景は、ため息をつく者、涙を流す者それを諭す者、お互い顔を張り手で殴りながら話し込む者、考える時間を過ごしてからこの会に参加した者、酔いつぶれて路上にへたり込む者、先輩に叩かれて鼻血を出す者……こうして活字にすると異様な光景に映る彼らの、ただ馬鹿騒ぎしただけではない時間が過ぎていった。

僕も飲んだ。そこに涙はないし、彼らを理論で封じ込めることもない。ただ彼らと、去年より早く終わったシーズンを振り返ることもなく、ただ酒を飲んだ。いつもより大きな音量で流れるスピーカーからのBGMが、彼らのテンションに比例する。一人そしてまた一人帰ってゆく彼らは、でも最後には握手を求めてきたりする。そこに言葉はなかったが、なぜかそれだけで僕は笑って送り出せた。
こうして、神戸製鋼ラグビー部の1月12日は終わった。


帰路に就く前に水に浸した餅米を覗き込むと、先ほどまで水が見えたはずのそれらが沈んで、綺麗になった「餅の素」が少し誇らしげに顔を出している。思わず、遠い昔に挑戦した滅多にしない自炊のカレーを作った日を思い出した。

市販のルーのパッケージに書いてあったレシピ通りに作っていたものの、ルーを入れる前に覗いた鍋の水分があまりにも少なく見えて、説明にはない水を継ぎ足してしまった。カレーは、キャンプのそれよりも「シャブシャブ」のスープのようになってしまっていた。

水がどこからか漏れてるんじゃないのか?露わになった餅米を睨みながら暫時考えた僕は、あの日の教訓を思い出し、二の舞は踏まなかった。

少し冷える朝の三宮だが、天気はいい。今日は、餅つき日和だ。


※本日のダジャレー男爵・伝言板
【テレビ中継がCSでしかなかったせいで、ほとんどの人は結果だけを知ることになるのだろう 僕は点差ほど内容が悪かったとは思っていない それは神戸贔屓のせいではない その点は一部の選手と一致した話があるが、餅にでも打ち付けて、彼らには先を見据えてもらいたいモノである】

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