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■ 中毒性日記 2002
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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酒場というものは、それぞれの思いを持ち寄って初めて「場」となるわけで、そこにいる自分を思い描きながら、酒だけではない「自分に酔う」感覚を持ってきたりするものだ。

渦中の人?カミーノ(11/7日記参照)が、また一人でやって来たのには理由があった。僕は「あんな日記、書いたらだめですよ!」とでも言われるのかと思いきや、彼は入ってくるなり「掛けてください」とCDを差し出した。余談だが「掛ける」という言葉は、やはりアナログレコード時代のものであろう。今なら「セットして」なのだろうが、「掛ける」の方がいい感じである。

最近葉巻を覚えたようで、過日も彼は吸っていた。いや正確には、薫らせていたと言った方がいいだろう(その辺は、2/28「神戸加納町、シガーバー」を見て欲しい)。とにかく彼には、僕の店に来るためのイメージがあった。酒、それは少し丸い味わいのスコッチウイスキー、音楽は「タック&パティ」の様な情景が浮かんでくるボーカルとアコースティック、そしてそこにはシガー、葉巻がある。僕に聞かそうと彼の店にあるCDを探してきて「これを聞くには……そうや、『志賀』に行こう!」となったわけである。

人によって感性は違うものだし、そのCDが僕の店に合うのか、何よりも僕が好きなのかは解らない。例えば先日来ていた、大阪のデザインオフィスに勤める船渡くんが「摩耶観光ホテル」の話をしてくれた。山頂にあったそのホテルは、今は亡き廃墟となっている。山に埋もれていて、でも3階から中に入れるらしく、当時のダンスホールや建築様式を残しているらしい。僕は凄く興味を持った。インテリアは?照明は?使われていた什器は?……見てみたいと言った。ところが僕が「廃墟」に興味を持ったと彼は思ったらしく「長崎の軍艦島?」の話や、廃墟ばかりの写真を集めたサイトやCD-ROMを見せたいと言う。建築に興味を持ったのだが、廃墟は少し怖い。廃墟めぐりを!と言われても「はいキョ」と二つ返事は出来ない。でも、イイ話を聞いた。そのホテルには行ってみたい。

さて、話は逸れたが(いつものことか)そのCDは見事にはまった。「志賀」のトーンとマッチした。僕の店に来たことがない方は、一度聞いてみればいい。そんな感じの店だ(どんな感じや?)そして彼の思惑通り、彼もハマった。酒を飲み、この音楽を聴き、葉巻を薫らす。1時間以上の時間を掛けて彼は、その時間を楽しんだ。

「人生は自分探しの旅である」なんて科白を聞いたことがあるが、そこに好奇心と勇気と探求心がないと、つまらない人生なんだと思う。カミーノが初めてタバコを吸ったのは、なんと小学校の頃だと言う。大人がポイッと道ばたに捨てた、まだ火の着いた煙草を思わず口に持っていったそうだ。もちろんゴホゴホッと何ともマズイものに感じたようだが、それが「まだ大人の味だな」と気付いたことは収穫だったのだろう。

僕がホテルにいる頃に似た経験と言えば、お客様の皿に残っているソースを厨房と客席の間にあるパントリーで、密かに指で舐めたことである。何も考えずに洗い場に出していたときには気付かなかったソースの深みや、冷めてしまったとはいえその味わいは、後のサービスに於ける説得力と糧になった。

『探求心』とは人に公言するものや、声を大にして伝えるものではなく、人知れず自分の時間で楽しむものであったり、人知れず慣れ親しむ「培い」なのであろう。それがその人の魅力となり、引き出しとなる。

「うわっ、そんな長い時間ココにいたんですか!!」

時を忘れた彼が素敵な大人に見えた。


※本日のダジャレー男爵・志賀
【矢萩さん、無事?でよかった また「オヤジギャグ」対決、したいものです】

※「志賀」に来た、ちょっとEE(ええ)メール
【『志賀さん、トッポジージョって覚えてませんか?話とかは全然覚えてないのですが、ふと神戸製鋼の吉田さんを見ると思いだしてしまいます』(昨日の日記「英雄は、ここにいる」を見た女性より)……なるほど、明もブサイクと言われるよりはええな トッポジージョは海外のアニメ?やったんちゃうかなぁ 声に特徴があるネズミで、物真似をしたような記憶がある】

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