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■ 中毒性日記 2002
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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帰りのコンビニでジュースを買う。セブンイレブンのグレープフルーツ100%ジュースは、なかなか旨い。その横にはデザートコーナーがある。最近はコンビニのデザートもなかなか本気で侮れないようだ。そしてふとこんな話を思い出した。あれは今から17年ほど前、僕が大学4回生の頃のことだ……。

僕達の大学のラグビー部夏合宿は、その当時車山高原と決まっていた。当時関西では2強と呼ばれた、同志社と我が大体大は同じ場所での合宿であったが、入れ替わりで合宿終了と始まりに別れていた。僕達が先の場合は、帰る日にこれから厳しい合宿にやって来た同志社大に、嫌み一杯にバスから笑顔を送ったものだった(もちろん逆もある)。僕達が合宿中にいつも憩いの場所にしていたのは宿舎ではなく、そこいらに隣接するペンションだった。

その中の一つ、今から思えば少し恥ずかしくも甘酸っぱい記憶が蘇る。メゾン・ド・スイスというペンションには「レアチーズケーキ」が有名で、図体のデカイ奴等のたまり場となっていた。まだ甘いモノが口に合った、あの頃が懐かしい。

そこに小さなおみやげ物屋さんがあって、僕はそこの女の子に恋をした。東京からバイトに来ていた彼女は、笑顔がカワイク、少し日焼けした健康的な女性だったと記憶する。もちろんいつも目的はチーズケーキではなく、彼女との会話だった。名誉のために言えば、もちろん本分であるラグビーの練習はしっかりやった。専ら彼女に会いに行くのは朝6時からの練習が終わって昼からの練習までの間、つまり部員がほとんど昼寝や宿舎でゆっくりしている時間だった。僕はおよそ2週間の合宿前半の昼にはほとんど、そこに顔を出していた。

合宿丁度半ば、その日を通称「中日(なかび)」と言い、唯一の休みをそれぞれ楽しむ日がある。展望台に上るため山頂を目指す者もいれば、何回生の頃だったか忘れたが、夜のたまり場だった「ウインズ」と言うペンションの方に、白樺湖や蓼科にも連れて行ってもらった。温泉にも入った。とにかく毎年その日は合宿の唯一の?楽しみであったが、4回生のその夏の僕は少し違っていた。やっとの思いで、彼女と夜のデートの約束にこぎ着けたのだ。

その夜のことは詳しくは書かない。僕と彼女はゆっくり話もしたが、僕も若かった。流れに身を任せ一度だけキスをした。その後僕達はそれぞれの場所へと帰っていくが、仄かに感じた気まずい思いと寂しさを覚えている。今思えば、僕は大学1年の時の遠距離恋愛(彼女は上智に行っていた、僕は関西に残った)の難しさを知った思いから抜け切れていなかったのか、東京の彼女と関西の僕との行く先を早計に答えを出してしまっていたのかも知れない。

後半の合宿はがむしゃらにラグビーに打ち込んだ。もう、あそこに行くこともなかった。もちろんチーズケーキを食べる仲間の誘いも断った。それは淡い思い出と共に、シャボン玉のようにフワフワと舞ってから壊れて消えてしまった。僕の目的はケーキではなかったと、誰にも悟られずに合宿は終わりを迎えた……。


日曜の朝、家の駐車場に降り立つと、辺りには昨日までは気付かなかった金木犀の香りが秋を感じさせる。右手に持ったコンビニの袋には、滅多に食べない、そんな話を思い出させたレアチーズケーキが、17年の時を経て顔を出していた。


※本日のダジャレー男爵・志賀
【帰って食べたが、慣れないモノはちょっと胃がもたれるな しかし当時レアチーズケーキはレアだったのよ レアだけに、レア……説明は要らんか】

※「志賀」に来た、ちょっとEE(ええ)メール
【次回につづく】


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