www.bar-shiga.com
■ 中毒性日記 2002
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
ホーム >>>
8/19「希望の虹」 バックナンバー >>>
車の故障は単なる消耗品と判り(本国オーダーだから時間は掛かるが)、テレビの出演者の答えのヒントは車工場の中へと消えた。そして18日、少し胸をなで下ろし日曜の自宅でくつろぐのも束の間、夕方4時を過ぎた辺りから僕の携帯が何度も鳴る。メールも来る。何が起こったのか!?尋常じゃない状況に、僕はその後、自己嫌悪に陥ることになる……。

何件も掛かってきた電話の内容は「僕の店のすぐ横で火事が起こってる」というものだった。95年、震災直後の僕は結構冷静で、散乱したガラスの破片や冷蔵庫の中身、洗濯用洗剤などを片付けながら、まず何をすべきかを考えた。イレギュラーには強い方だと思ってる。この日も落ち着いて電話のそれぞれの話を聞いた。「志賀さんの店に横に、消防車が10台近く来てる」「煙が上がってて、どんな状況か分からない」「野次馬が何百人といる」などと、色々な電話・メールがあった。僕を心配してくれる人達がたくさんいる。とても嬉しいことだ。

結局、夕方になって大体の出火場所は分かったのだけれど、連絡をくれた最初の男性に「とりあえず、店が無事でよかった」と僕は言った。電話を切った後、自分の言葉に悲しくなった。震災のその夜、電気が復旧し唯一見られた衛星放送で『東京でもし震災が起こったら』という関東の番組を観た瞬間に感じた憤りを、僕は忘れてしまったのか。「対岸の火事」の安心は、あまりに悲しい。

戦争も、天災も、人災も、障害も、今の僕には身に降りかかっていないものだ。その立場にならないと解らないから、多くは語れない。画面には、毎年恒例の24時間テレビの映像が、そして偶然に流れるアフガンの風景。僕は、温々と静かな家に住んで、店に立って、人と話し、食べたいときに食べて、寂しいときに電話して、笑いたいときに仲間に会えるのに……。

ふと窓の外を眺める。この日記を書いている、まさしく今18時40分、南の空、海の上に大きな美しい虹が出ていた。台風の影響で曇っていて、雷が鳴り雨が降っているのに、同じ空には鮮やかな虹が同居している。辛いときも悲しいときにも、太陽は昇るし、虹も架かる。感動も、笑えることも万人の権利で、それは間違いなくいつかやって来るものだ。どこにいようとも「虹」は見える。

虹の感動をこうして活字にして認めることのできるうちは、しんどいなんて、今の僕には本当に贅沢で失礼な話である。真剣に生きたい。


※志賀私的伝言板
【画面を観て語る奴らよりも数百倍、アフガニスタンの映像は伝わったよ】


Copyright@Toshiya Shiga. All Rights Reserved.
Send Mail to Shiga