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■ 中毒性日記 2002
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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僕にとっては夏休みとなる、店を休んだ月曜日。結局、一日中家にいる。いいアイデアが閃いて、一旦PCに向かって仕事を始めるともう止まらない。

いい文章なんて書こうと思って書けるもんじゃないし、僕も含めてそれを仕事にしていない人間には本当に難しく伝わりにくいものだ。これは、モデルやタレント・芸能人という業界にも言えることかも知れないが「自分がイケている、自信がある」という確信犯的に発信する態度をも兼ね備えながら、方や謙虚で好感度を維持し続ける人は、月並みな表現ではあるが、それは「才能」だと思う。

そんな中、僕にとっては熱く伝わる文章に出会った。それは、彼が普段そんなに文章を書くという印象が無く、無骨で実直な彼なだけに、微笑ましく浮かんでくる情景がなぜかホッとして、そして涙が出そうになった。

彼は過日に結婚し、奥様となった彼女のお母様は、その後間もなく亡くなった。花嫁には新しい命が宿り、晴れの姿とその報告を胸に、お母様はこの世を去ったのだ。その数ヶ月後のある日、産気付く彼女の体調を考え、彼の実家に連れて帰るという理由で、11日、日曜のBBQの誘いを断ってきた。そして月曜日、彼からはこんなメールが届く。

『 昨日はウイスキーを持参して行った様ですね。また「ブランデーかよ……」とか言いながらブランデーを飲んでいるのかと心配していました。

昨日は実家に彼女を連れて帰り、母が彼女に晩御飯を作ってくれました。ウチの母は父の経営する酒屋で共に働いていたこともあって、結婚してから料理を作る機会がなく、元からの頑固者も手伝ってか「下手な料理なら作らない」主義で、今まで息子の僕ですらご飯を作ってもらった記憶はあまりありません。
その母が彼女の体を気遣ってサラダを作ってくれました。

僕は慣れない場面に戸惑ってしまいましたが、3人でそれを食べ、縁日でこれまた母が買ってきた「イカ焼き」をつまみ、特に会話もなくその場を過ごしました。

一方は○○邸で「角瓶」、一方は東大阪で「イカ焼き」……。

皆さんとまたお会い出来る日を楽しみにしております 』

万人にウケるベストセラーよりも、少なくとも僕はこのメールに感銘を受けた。心に響く文章とは、「心に響かせようとする文章」ではない。伝わった、そして学んだ。それは「意識的な才能」とは無縁の処に存在するものなのだと……。

12日の夕方、僕は近くのスーパーに慣れない買い物に行く。
サラダが食べたくなっていた。


※志賀私的伝言板
【13日は、夕方打ち合わせに三宮に出るので、店にいるかも……?】


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