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■ 中毒性日記 2002
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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日曜の朝。スモッグが掛かるものの、強い日差しは照りつける。まだ眠れずにPCに向かう。夏の店の恒例?DMも、そろそろ送らなければならない。週末が静かだった店で働き足りない僕は、こうして満たされる。

昨日の日記の冒頭にあるように、僕は土曜の早朝、奇妙な体験をした。

金曜の店は前述のように静かで、深夜2時前にはK嬢とC嬢の大泣きコンビ(7/4日記参照)がカウンターを陣取っていた。また映画の話で盛り上がり、「レザボアドッグス」のティム・ロスを指して僕が「このミスター・オレンジ役はねぇ〜」と得意げにタランティーノ作品を話し出すのを無視して「ねぇねぇ『海の上のピアニスト』ってよかったわよねぇ〜」と女性二人で盛り上がる。「あぁ『海の【家】のピアニスト』やね」と僕がボケるのを余所に「海の家?今から海、行こうかぁ〜。志賀、早よ店閉めぇよぉ〜」と、30歳代、立派な大人の3人はその10分後には、店を出ていた。しかし、この人達はいつもマイペースである。

途中コンビニで花火や食料を買い込み、三宮からおおよそ20分で到着。人のいない「海の家」の間を通り抜け、波の音が響く砂浜に入る。花火を楽しむ若者の姿が、こちらの気を急かせる。夜の海、波の音、心地よい風……一気にタイムスリップは加速する。僕達はもう子供になっていた。

こんなところで、お客様から戴いたSMプレイ用の低温ロウソクが役に立つとは思わなかった。砂に埋めて、懐かしい花火に火をつける。こんな夜には「鳴り物」は似合わない。スパーク、スモーク、ねずみ、コマ、ひとだま、そしてやはり締めに線香花火は欠かせない。サザンの曲を口ずさみ、なぜか夏の終わりのような気分になる。ドラマでしかお目に掛からない光景のようだ。

突如、何を思ったかK嬢が「う〜ん、もう我慢できな〜い」とスクッと立ち上がり、闇雲に服を脱ぐ。ローライズの下着にタンクトップの恰好で、暗い海に駆けてゆく。「気持ちイイィ〜っ!」彼女は仰向けに浮かびながら「二人ともおいでよぉ〜」とこれまたドラマで見たような声をかける。続いてC嬢も「志賀さん、Tシャツ貸してぇ〜」と僕のシャツをはぎ取り、同じくローライズで海に入る。

ここで断っておくが、男性諸氏は「志賀は、なんて贅沢なんだろう 女の子が二人、ほとんど裸で泳いでるんやでぇ〜、羨ましい!」と言いそうであるが、暗くて見えなかったことと、K嬢はかなり「ふくよかな」お身体で、例えて言うのなら「森久美子」のようで……失礼。でも極自然に、その後僕もボクサーパンツで海に飛び込んでいたんだ。ほんと、自然にね。

明るい満月に照らされた水面、満ちた海の底まで映し出すその光に、微かに見える互いの姿。遠くに通る船の作り出す波に、仰向けに身を任せてみる。星がたくさん見えて、時が止まることを体感する。叱られて涙したあの日の夜も、小さかった僕が夢見たあの星も、旅先で家族と見たあの月も、今も昔も変わらない。今考えてみると不思議だがあの瞬間、僕等はやっぱり子供だったんだと思う。

「明るくなるまでに帰ろう」

誰からともなく言った言葉で、僕達はまた大人の世界に舞い戻っていった…。


※以下、オチの欲しい人はどうぞ。

『まるで「燃えよデブゴン」が、お爺さんを敵に殺されて泣きながら復讐を誓い走る、あのスローモーションシーンのように……彼女は波に身を任す。いや、波は負かされたと言っていい。彼女の思いのままである。すぐ横にある、須磨水族園から逃げ出したスナメリの如く、「♪な〜み〜の〜流れに身をまかせ〜♪」と美空ひばり調に歌いながら仰向けになった彼女の肉体は、特大の蛤をモノともしない大ラッコの様にも思えた。ウミガメとも言ってもいい。

海に来たというより「産み」に来た、という感じだった』


※志賀私的伝言板
【字が多すぎて、お休み】


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