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■ 中毒性日記 2002
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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神戸ウイングスタジアムでのサッカー観戦の後、街に繰り出したと思しき人々の溢れる三宮である。異国情緒漂う神戸にも珍しい顔ぶれの中、地元のお客様は影を潜める。よって、まだお客様のいない「志賀」から、向かいの「かのう3ビリヤード」へ行き、札幌で行われたイングランド対アルゼンチンの試合を観戦した。下馬評を覆す内容である。いつの時代も波乱はおもしろい。

そんな中、携帯電話が鳴る。機種を変えてから、なぜかスポーツ選手からの着メロは「燃えよドラゴン」である。イントロから「アチョーッ」のタイミングで出ると、その主は「もう店に来てるよ」と言う。僕は、ベッカムに後ろ髪引かれながら店に戻る。

店には一人、スーツを着た男性がカウンターにいる。そして「一緒に飲もうよ」と言う。僕がこの店で彼に勧めてからというもの、ずっと僕等はこの島のウイスキーを一緒に飲(や)っている。

ラフロイグというスコッチは、アイラ島という名の小さな島のウイスキーで、まさしく彼と数年前に最初に飲ったものである。乾燥に使う泥炭に染みついた、古くからの海草や海水によって独特の香りと味わいを醸し出す。物の本によると、生牡蠣にこれを垂らしてオードブルとして楽しむのがあの島の流儀であるらしい。氷など要らない。例に倣って僕等はストレートでのどの奥に流し込んだ。

「独身最後の夜だからね。特別な日だよ」彼はポツリと言った。

「おめでとう」心からそう言うと、僕は2杯目のアイラモルトを注ぎ入れる。

「今からみんなで飲んでくる。その前に来ておこうと思って」

2杯目を空けた頃「飲み代奢るわ、結婚祝いに」と僕が言うと、

「何言ってんの、今日は志賀さんの誕生日祝いだよ」と彼は出ていった。

僕より若い彼は今日、僕にとって人生の先輩になる。これからは今までとはまた違った、新しいドラマを観させてもらうよ。潮の香りのする液体を飲りながら…。


※志賀私的伝言板
【式に参列するのはもう何度目だろうか 飽きないのは、主人公が違うからであるが、もっとも主賓の挨拶で「家族の絆には3つの袋がありまして…」とか「重い槍、思いやりの話」なんてされ、挙げ句に「お前どれだけ長いねん!」くらいに話されたりしたら、苦笑もんである 最後にはいつもウルルンやけど…】


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