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■ 中毒性日記 2002
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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金曜、また神戸製鋼ラグビー4名の襲撃に会う。この日は、2人の新入部員を連れての来店だ。さすがついこの間まで学生だった彼等は、近頃見たことがないパワーがあった。しかし、小村をリーダーとして男4人でゲーム&イッキをしている奴らを見て「こいつら、女の子もいないのにナニ無駄なことやっとんねん?」と思ってたら、何のことはない『来るべくいつか』を見据えての練習らしい。なるほど、陰の努力は必要だ。

お客様が皆帰り、シーンと静まりかえった店でいつもの儀式が待っている……。

カウンターは9席、入り口からでも奥からでも5番目に、柱に挟まれた一人用の席がある。わざわざここに座るお客様がいるくらい、この席は二つの柱が不思議な空間を演出している。基本的にはどなたでも座れる場所だが、酒を目の前で作る僕が一番多く居る場所なので、必然的に僕をよく知る人物が多い。僕もここに気の置けない人が座ると楽である。

カーソルをそのまま左の「変態小説家」のコンテンツへ移動していただきたい。色が変わって、クリックすると左上に大きくカウンターが映る。そこが、その5番目の席、目印はバカラのマッセナ・オールドファッショングラスである。店に来たことのあるお客様なら判ることかも知れない。このグラスはいつもここにある。お客様が座ると取り去るが、帰られるとまたそこに置く。

グラスはある方から戴いた物だが、何度か店で使って、フチがチップ(欠けること)してしまった。高級グラスのカッティングは素晴らしく鑑賞に堪えうるフォルムを持つのだが、そもそも店ではシンプルなグラスを使っている。その方が、作る氷に力が入るからだ(01/5/19日記「生きた氷の話」参照)。氷も液体もグラスでごまかしたくはない。しかし捨てるには惜しい。

さて、話が逸れたがそのグラスの意味。お客様に「ずっとそうやって誰かを待ってるんじゃないの?」と言われたことがあった。僕は「いいえ、亡くなった妻を偲んでいるのです」と返して、失笑を食らったこともあった。ここまで書いて「な〜んだ」と思われるかも知れないが、このグラスは「さぁ、オープンだ」で写真のカタチになり、片付けが終わって照明を落とす前、伏せて帰るのだ。それが僕の「けじめ」というわけだ。

縁起を担ぐタイプではないし、ジンクスというわけではないが、営業中に置かれたグラスを見るととても安心する。家に誰かを招くとき、ちょっとくらい片付けはするものだろう、丁度その感覚に似ている。「何かに頼る」それくらいの緊張は、偏屈で偉そうな僕にも実は普通にあるのだ。そして今日もまた、フチが欠けたグラスはこうやって前とは違う表情を見せている。

この話はあなただけの秘密にしてもらおう……誰にも言っちゃダメですよ。


※志賀私的伝言板
【「捕鯨」と聞く度に「ホゲーッ!」と驚く表情を思い出すのは僕だけか…】


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