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■ 中毒性日記 2002
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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最高気温25度の昨日、携帯を変えた。新しくする度に「今度は傷つけないように、落とさないように…」などと、買ったばかりの車のシートに掛かっているビニールをいつまでも取らないが如く数日は大切に扱うのだが、いつの間にか傷だらけになる。唯一と思えればそれを愛し続けるのだろうが、残念ながらこの時勢、買い換えることでささやかな贅沢を楽しんでいる。あぁ、小市民。(死語?)


皆が口をついて出る「不景気」という言葉を、あえて準じて言うのは「らしくない」と思うのだが、確かに僕のようなスタイルの店でもそれを感じることがある。トイレ掃除を全くしなくていい日が、ちょこちょこあるからだ。これは尋常ではない。いくら何でも、これでは趣味の店である。曲がりなりにもここは「店」であるから、お客様がいなくてはお話しにならない(チョット死語)、それは解っている。ただ、時に僕の店は、店とは言わずに「家」などと主張するわけだから、毎日パーティーしている家はない、と思うようにしているわけだ。

朝方5時から開いている定食屋さんが元町にある。知人の紹介で、近頃朝まで三宮にいるときには立ち寄るのが楽しみになっている。所謂「中めし、味噌汁、コレとコレ『チンッ』して!」系の店である。言えば、目の前で玉子焼きも作ってくれる。それは絶品である。僕の親くらいのおじさんとおばさんが夫婦でやっているのだが、今では覚えてくれているようで「コーヒー飲みよってか?(神戸弁)」と食後にインスタントコーヒーを入れてくれる。

なぜに朝から開いているかというと、タクシーの夜勤明けのお客さんが多いかららしい。開店時間の朝には、制服を着たおっちゃんがよくいる。ここでも「不景気話」に花が咲く(正確には花は咲かない、どちらかと言えば桜散る、という感じ)。もちろんそのおっちゃん達、財布の紐も堅く、あまり売上にはならない。それでも店のおじさん、おばさんは優しい。

ある日、いつものように一人で行く朝、店には僕以外誰もお客がいなかった。おじさんとおばさんと、初めてゆっくりあれこれ話す。ご夫婦には、僕くらいのお子さんがいることが分かった。なるほど、僕に優しいのはそのせいか、などと思いながらまた話を聞く。しかしここにも「不景気」の波は押し寄せていた。実は、もう今年いっぱいで店を閉めるらしい……。

「あの店よかったよなぁ」なんて思い出してしまう店は、誰にもあろう。行こう、行こうと思いながら、気が付けば無くなっていた店もある。混沌とした現代は、いかんともし難く「いい店」の存在を断ち切ってしまう。僕は出来れば、その店が続く限り通いたいと思っている。例えそれがインスタントでも、「砂糖なし、ミルク少なめ」を覚えてくれている店なんて、そう簡単には見つけられない。


※志賀私的伝言板
【3日、とりあえず店は開けます 5日もしかしたら、やる鴨なんば……寒っ!】


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