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■ 中毒性日記 2002
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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土曜日夕方マンションの廊下で、向こうからやって来る車椅子に乗る一人の少年に出会う。僕の住むここで初めて会う子だ。年の頃は小学生くらいか。段差をなんとか上ろうとしている。廊下一杯にいるものだから、通り過ぎるまで待とうか、隙間を先に急ごうか一瞬考えた。ここは善意で車椅子を押そうかとも迷ったが、いきなりは失礼かも知れない。僕は「大丈夫?」と聞いてみた。

彼は歯を食いしばって、車輪を少しずつ手で回しながら「大丈夫、自分で出来ます」とゆっくりすれ違う。今までに何度も人に聞かれ、彼は何度も同じセリフを言ってきたに違いない。なぜならその言葉には力があった。僕はそんな陳腐な言葉しか言えなかったことを後悔し、あの頃を思い出していた……。

震災間もない神戸、被災した人達、その内から出てくる「頑張ろう」という気持ちと、外から言われた「頑張って」の言葉は、受け手と送り手で全く意味が違った。善意は有り難い、しかし人には独自の世界観があり千差万別であるから、その立場はそうなってみないと実際は解らない。被る体験・体感は人を大きく変えていくし、強くもする。僕も被災しなければ、神戸で店をやれなかったわけだし。

自分の力で歩こうとしている人達に、何も言うことはない。ただ、今度またあの少年に会ったときに一声掛けるとすれば、僕は「こんにちわ」とだけ、彼に負けないくらいに力強く大きな声で言おうと思っている。あの少年にまた会いたい。


志賀的街の風景
『【次回からの予告】』d色んな街で見た、不思議・おもしろい・美しい…何でもありで「あぁ、そこに行ってみたい」と思わせてしまうような数々の場所 今までの日記の中で登場したモノと重複するのはご容赦を……

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