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■ 中毒性日記 2001
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
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金曜、店が終わってから日記を書いている。

今まで6年と4ヶ月に、色々な忘れ物があった。ハンカチ、たばこ&ライター、メガネ・サングラス、紙袋……一般的なものだ。次にやはり携帯が多い。自分にも経験があるのだが、ふと無いことに気付くと思わず近くの人の携帯から掛けてみる。ジャケットの内ポケットにあった、なんてオチが多い。

しかし、あの日は少しビックリした。奥のソファー席には、6名様が帰った後のグラスや灰皿が残っていた。ふと見ると足下に、筒がある。「これは?」シーンと静まりかえった卒業式にふたを取ってスッポンスッポンやると怒られた、あの筒だ。学生は来ないであろう僕の店で、これは変だ。思わず中を確かめる。 中には『医学博士課程修了書』が入っていた。会員様だったが携帯は知らなかったので、お勤めの病院に電話を掛けた。次の日お礼の電話があった。無くなっていたら大変であっただろう。

7日は、いつものように午前2時には閉店した。最後のお客様は、昨日引退発表のあったヴィッセル神戸・武田治郎だった。心からお疲れさんと、見送った。同期の野人・岡野と帰っていく。僕は今まで、スポーツ選手の引退を一杯見てきた。それは勇退も、怪我や解雇など無念の時も、体力の限界の時にも、いつも親でもないのに少し寂しい気分がして物思いに耽る。僕の引退はどんな時なのだろうと考えながら店の掃除をする。

トイレの中には、ペーパータオルの下にゴミ箱がある。入っているものと言えば紙くらいのもののはずだ。前に、履き替えたらしきパンストが入っていたことがあって、マニアショップに売りに行こうかと……思わずに捨てた。この日、中には何やら紙とは別の物が入っていた。

透明のケース、小さなチューブ。??それはすぐに見つかった歯ブラシで、そのセットだと解る。「歯磨き?」そう、僕の店の営業中に歯を磨いた人がいる。

歯磨きセットは会社に持っていく人がいるのは分かる。しかしこれは使い捨てである。バーに飲みに来て、歯を磨く奴など聞いたことがない。つまり磨かなければいけない状況だったのである。僕は、こう推理する。おそらく犯人は男性で妻帯者、今宵は違う女性と一緒だったはずだ。僕の店に来る前に、石田純一の言うところの「不倫は文化だ」をいたした男性に違いない。家に帰る予定の男性は、このまま唇に彼女の残り香を纏いながら帰る勇気はない。ホテルで仕入れた歯ブラシで密かにトイレで歯を磨く。完全犯罪である。もしくは……。

トイレに住んでいる人が寝る前に磨いたのだろう。謎は包まれたままである。


諺・志賀語録「ち」
『知識は力なり』d今回はまともに正論である【原文】Knowledge is power. でも僕には知恵の方が大事だ(5/31日記参照)
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