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■ 中毒性日記 2001
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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阪神高速から名神へ、車は東に向かっていた。

3連休の最終日となる日曜。芦屋から高速に乗る。名神を経由し、しつこく食い下がる黒のBMWZ3、シルバーのフェアレディーZを彼方に追いやり、渋滞を予想していた僕はあっけなく京都南ICに到着する。電車を利用するより速かったことは、彼らに感謝しなければならない。

東寺を横目に北上する。古都の街並みは、安堵感で一杯だ。烏丸御池で待ち合わせをした「なんやのん、この車!」と驚く母を乗せ、下鴨へ行く。2月に死んだ爺ちゃん(特別編「僕と爺ちゃん、ガラクタと長靴」参照)の家に行き、仏前に手を合わせた。婆ちゃんも久しぶりだ。3人で、神戸から持ってきたイタリアのお菓子を食べた。お茶の師範でもある婆ちゃんが抹茶を入れてくれる。甘いモノは食べない僕だが、こうやって茶を飲みながら食すのは嬉しく、懐かしい。銀杏の入った餅も、勧められるままにたいらげた。

今回の目的は、瑞巖山「圓光寺」のライトアップだ。仕事の関係の照明会社が今回のライティングを担当、招待状を送ってくれたのだ。ライトアップと言えば清水寺が有名で、この季節は観光の名所となる。今は神戸に住む僕に、大阪の会社からの招待、それが京都。しかも僕が2〜3歳にこの近くに住んで、遊んだ場所がある(らしいが、ほとんど記憶に無い)。この招待状で偶然が重なり、僕は自然に赴くまま京都に車を走らせていたのだった。

二人しか乗れない僕の車は爺ちゃんと共に留守番だ。タクシーで圓光寺へ。北白川から一乗寺下り松を西に、山に入る。表示が出ているが、あまりに細い道は見落としがちだ。住宅地の一郭にそこはあった。僕は京都に20年余、生まれ育ちはしたもののさほど寺社仏閣には詳しくない。観光名所や自分の住んだ下鴨・伏見桃山・山科のローカルな場所くらいしか分からない。こんな機会がなければ来なかっただろう。石段にはもう人が並んでいた。

本堂は大きくない。そこから庭に向かい座る。後ろで立っていたが、久しぶりに正座がしたくなった。シーンと張りつめた空気の中で、暗い庭の中央に霧が下方から上がり、大きな石が濡れていく。雅楽のような旋律、尺八の調べと共に徐々に映し出される紅葉。奥には竹がそびえ立ち、白く浮かび上がる。音楽はシンセサイザーに変わり、ヒーリングにも近い空気が暫時流れる。おおよそ10分間のライトスケープは静かに幕を閉じた。僕は自然にシャッターを押していた。

石段を下りて帰る途中、後ろの関東から来た風の若者が「癒し系だよね」と言っていた。確かに今の言葉で言うとそうなるのかもしれない。でもそれだけには片付けられない、僕には「力」になるものだった。年齢層も幅が広いこのイベントに僕は、身内やブレーンと感じる周りの人を連れて来たい、そう思った。もしも来年行われるのなら、またここに居たい。


諺・志賀語録「く」
『苦あれば学割』:受験勉強する高校生へ
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