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■ 中毒性日記 2001
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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一応知らない人に説明する。今から10年以上前に全国的にブームだった「屋台村」は、その名の通り屋台らしき一坪くらいのスペースを、大きな敷地に区割りして共有する(家賃が安い)、店子(たなこ)と呼ばれる業態、焼き鳥・串焼き・串カツ・居酒屋・焼肉・なんと寿司までもあり、朝までやっていた。どの席に座っても、どこからでも出前が取れる。つまり、そこにあるものは色々楽しめたという、バブルがはじけた当時画期的な場所だったのだ。

ところがある時期を過ぎると街には「屋台村」は存在しなくなる。昨日の日記のMacのようにはいかなかったのだ。理由は定かではないが、おそらく同じ値段でもっとおいしい、もしくはもっと安い金額で飲み食いさせる店が出来ていったのだろう。「屋台村」は成りを潜めたはずだった。

神戸のそこは、おそらく震災後の神戸の店子を集めて始めたもので今も存在する。それは盛り上げなければならない。僕も震災の年、1995年8月に店をオープンしたのだから。夜中3時過ぎ、僕は一人で入ってみた。

時間が時間だから、店内に活気は見られない。八つあるブースに、人がいるのは「寿司」と書いた店だけで、他の店主(といっても人は3人くらいしかいないが)は本を読んだり、タバコを吸ったりしている。奥にある寿司屋には二組いる。一組目は男性2名、女性1名のどうみても50歳代の人だ。もう一組は、といっても一人のおじさんもまたその世代の、いかにも競艇場にいそうな(行ったこと無いが)おっさんだ。僕はその丁度、間に座る。

腹が減っていたので、もうネタは9種類くらいしかなかったけれど2カンずつお願いした。右隣の 3名は酔いながら議論中だ。端っこのおばさんは、いかにも書きました、というような眉毛をしている。男性を挟んでもう一人の男性と口論中である。「ひろし!今、何言うた!!」と、何回も言っている。手前のひろしさんは「しゃーないやろうが〜」と返す。「男やったら、吐いた唾飲むな!ぼけ〜」と女性が言うとまた「しゃーないやろうが〜」と返す。これが延々続いて、真ん中の男性はずっと黙っている。変な人達だ。

方や一人のおっさんは、誰もいない奥の方に幽霊でもいるのかと疑いそうになるほどに、空気に向かってずっと話している。身振り手振りで、何やら語ってる。最初はただの酔っぱらいに見えたので「たまにはこんな空気もええもんやなぁ」と僕も歳をとったなぁと目の前の寿司を放り込む。まあ、この時間にしては旨い。この時間だから旨いのか、腹は満たされそうである。

そこで気付いた。この一人で来ているおじさんは、見ず知らずの3名の会話に相づちを打っているのだ。 「しゃーないやろうが〜」と男性が言う度に「しゃーない、それはしゃーないわ」とか「男やったら、吐いた唾飲むな!ぼけ〜」と女性が言うと「ぼけ〜、飲むな〜、ワシは飲むけどビール」と言う。「ひろし!今、何言うた!!」に至っては「ひろし、言うな〜」と言うものだから、都度そのひろしさんは立ち上がり「すんません、すんません」と僕越しに、おっちゃんに謝っている。久々に見た、居酒屋舞台の新喜劇のような状況だった。

ここは出来る限り何もしゃべらない方がいいな、と思った僕は小さな声で「赤だし下さい」と言う。すると「赤だし〜、ウィ〜ッ!」とおっちゃんは少し反応して、でも突っ込みようもなく、おとなしくまた空気と話していた。屋台村はまだこうして続いている。また来ようと思った。


志賀変語46
『グミ』:ももちゃん(11/8日記参照)にもらった「アンパンマンのオレンジグミ」はキャラクターの型に入っていて「食べ終わったらそこに水を入れると、アンパンマンの氷が出来るよ」と書いてあったので作ってみた
「食べるのがかわいそう〜」と言うよりは、ただの薄っぺらい氷だった
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